「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (409) 「周防正行氏ロングインタビュー 法制審議会特別部会の最終答申案を受けて」 7/17/2014 

#検察なう (409) 「周防正行氏ロングインタビュー 法制審議会特別部会の最終答申案を受けて」 7/17/2014

これまで法制審議会の最終答申案に関しての議論をしてきました(注)。非常に重要なこの事案を理解するための資料として、周防正行映画監督によるロングインタビュー(by ビデオニュース・ドットコム)は、法制審議会特別部会の雰囲気や経緯、そしてその問題点を明確に指摘しています。

刑事司法改革の行く末を見据える上で、非常に重要だと思われますので、是非(約1時間と長尺ですが)添付の動画をご覧頂ければと思います。

ここをクリック→ ビデオニュース・ドットコム「周防正行氏: 小さな一歩でも警察にとっては絶望的な恐怖だと思う」

興味深いと思われたポイントを、ハイライトとして書き起こしましたので参考にして下さい。

周防  「(法制審議会では、法務・検察関係委員に)言葉が届かないとか、素通りしてるんじゃないかとか、あと完璧にはね返されるとか、そういうことが多かったんですね。それをふり返って流れを考えると、前提としていることが違う。例えば、この審議会は村木さんの事件がきっかけとなった検察の在り方検討会議、それから受けてそういった誤判・冤罪を防止するという目的で開かれた会議にも関わらず、タイトルが「新時代の刑事司法制度特別部会」というように「冤罪を防ぐ」が「新時代」に置き換わっているんです。

実は取り調べの録音・録画とか証拠の全面開示以外に、司法取引であるとか、通信傍受の拡大ということを話し合うことを前提として用意してたんだなということが、話し合いの中でよく分かりました。出発点というか目的を微妙にずらされて出発してるんだなということを途中で気が付いて、これは浅はかだったなと思いました」

周防  「可視化の範囲が狭いからといってほったらかしちゃうと、実は警察も検察も自分たちの好きな録音・録画ができるんですよ。何の法制度も、つまりこういうものが録音・録画なんだというものがない中で、警察と検察が自分たちのやりたいような録音・録画を使って、法廷で裁判所の承認を受けて、警察・検察・裁判所による彼らの録音・録画制度が作られてしまうというのが一番嫌だったんです。だから、録音・録画はどういうものであるべきか、範囲は狭くても、そのひな形は法律として作ってしまえば、このやり方をあからさまには無視できなくなるはずなんです」

神保  「もう部分可視化で行くのは難しくなりますよね」

周防  「そこなんですよ、僕らが言っていた方向性という意味は。録音・録画をするっていうことは、全過程、取調べ室に入った瞬間から出て行くまで全てを録音・録画するのだ、それが取り調べの適正化につながり、調書の任意性・信用性の判断にもつながるんだというところをとにかく決めたかったんです」

神保  「(刑事司法改革の流れを前提とすれば)周防さんや村木さんが全面可視化を主張するのは当然なのに、それを、法曹関係者といえば今回26人中19人がそちら側の利害当事者だったということなんですけど、その地位もあって頭もいい方々が、どういう論理で「いやいやそんな可視化は必要ないんだ、やったらいけなんだ、できないんだ」と真顔で主張されたんでしょうか」

周防  「ものすごく象徴的だったのは、警察関係者の方だったんですけど、「取り調べの録音・録画をしたら、今までのような取り調べができなくなる、だからだめだ」って言われた時に、「この人は一体何を言っているんだろう」とその時はすぐ手を挙げて、「そういう今までの取り調べをできなくするために、新たな制度を考えましょうって言っているのにそれはとんでもない話だ」ということを言ったんですけど、それで終わるんですよね」

神保  「彼らのメンタリティ、論理というものを、周防さんどう思いましたか。つまり、都合が悪いから、本当は周防さんの言っていることは十分分かっているし理解もしている、そもそもこの会議がそういう(冤罪・誤判を防ぐための刑事司法改革をめざすという)趣旨でできたということも本音では知っている、でもそれを認めてしまったら、自分たちの既得権益とか、今までの仕事の仕方がしにくくなるとか、そういうことで無視をしているのか、それとも本当に全く頭が堅くなっていて、別にその振りをしているんじゃなくて、本当に周防さんの言ってることが分からない、そういうことを考えるマインド自体がないからそういう風になっているのか。そこはどう思われますか」

周防  「ずっと考えてきたんですよ。最初はこの人たちは、本当にとぼけてるだけだと思ってたんですよ。全部分かってんだけど、そんなことやっちゃったら、警察も検察も維持できないって思ってんじゃないかと思ってたんですけど、ある時に、警察関係者なんですけど、「取調べ室でマイクを突き付け、カメラを突き付けられたら、誰が本当のこと言いますか」って言った人がいたんですよね。もしかしたら本当に彼らは録音・録画ってものがされた瞬間に誰も何もしゃべらなくなるとか、いいことしか言わなくなるって本当に信じてるかもしれないってのはあったんです。

ただ、警察にも検察にも、これをきっかけに改革したいって思ってた人はいたんじゃないかと。逆に改革させたくないっていう人も確かにいるんですよね。あの組織の中でもそういうせめぎ合いはあるんじゃないかな。で、実は、録音・録画の範囲の問題なんですけど、裁判員裁判って言うのは全刑事事件の2%程度。僕らにとっては、すごく少ないと思ってるんですよね。ところが警察関係者にとっては、すごい恐怖じゃないかと。要するに死刑や無期求刑がある事件、それを全部録音・録画しなければいけないっていうそういう取り調べが明日から始まるとした時に、どうしたらいいんだろうっていう思いは絶望的なんじゃないですか」

周防  「日本の民主主義って言われるものは、まだまだ未成熟どころか本当の子供で、「個」っていうものがどういうものなのか、例えば人権侵害なんて口にしますけど、あれって本当に自分の人権が侵害されているって肌で感じて、どれだけの人が気が付くんだろう。僕らはまだまだ人権侵害なんてのは言葉として理解しているだけで、肌で感じてないんじゃないかな。それを肌で感じて学んでいかないと、いつまで経ってもこのままで。

このままでいいじゃないかという考え方も確かにあるんでしょうけど、少なくとも僕は、そんな子供ではいたくないっていう。もっと成熟した大人になっていきたいと思うので、今回の会議も、もっと高いレベルの会議ができるようにならないと恥ずかしいなっていうかね。やはり人間としてどうあるべきかとか、すごく大きなところで僕は我慢できない自分の未熟さと言うんですか。

それが日本のこの平和でのんびりした環境を変えることになったら、そんなことは余計なお世話だっていうけど、よく言う「寝た子を起こすな」っていう、でも僕は寝た子のままではいたくないっていうのがあるので。僕はまだまだ日本人は、民主主義とか人権とか(理解していない)。裁判所は人権の最後の砦と思ってたけど、彼ら自体が人権を分かってない。それは人質司法に対しての批判に、彼らは全く耳を貸さないどころか、そんな実態はないって言い切るわけですよね。私たちは適切に判断してきましたって。あの傲慢さはちょっとね。もしかしたら日本の裁判所は治安を守るためにあると思ってんじゃないかな。僕は恐ろしくなりましたけど」

周防  「今回は本当に小さな前進かもしれないって言ったのはそうなんですけど、僕は、裁判所がきちんと運用してくれたら、ものすごく大きな一歩だと思いますよ。これは裁判所次第だと思っています。裁判官にプレッシャーかけたいですね。例えば例外規定だって、録音・録画しなかった時になぜ録音・録画しなかったかの立証を警察・検察がどこまでできるんだっていう。裁判所次第ですよ、それは。「それは認められません」って裁判所が言えるかどうか。そこで決まっちゃうんじゃないですか。もう例外だらけの録音・録画になるのか、厳しい運用をして、本当に取り調べの適正化につながるのか、裁判所次第」

周防  「僕だって会議に参加してなくて外部にいたら、ものすごく批判してますよ、この答申は。むちゃくちゃ批判してると思う。僕は開き直っているわけじゃなくて、本当に批判してほしいんですよ。そうすることで裁判所にも検察にもきちんと声が届くと思うんですね。僕自身が批判されても全然応えない。なぜかというと多分僕も批判していると思うんですよね。だけど会議に出てた人間として、ここで選択する中の「ベター」を選んだと理解して頂ければ、ま、そこまででいいです。だからその「ベター」が違う結果を生んじゃったら、それこそ僕は皆さんに合わす顔ないんですけど」

神保  「席を蹴って立てばかっこいいけど、収穫はゼロになるということですよね。検察は一番それが望ましかった」

周防  「だと思いますよ。僕が席立ったら、ほれ見たことかで、検察は喜んだと思いますよ。分かんないですけどね」

(注)
ここをクリック→ #検察なう (406) 「司法取引導入の是非を問う」

ここをクリック→ #検察なう (407) 「『原点はなぜ見失われたか』 徹底検証「新時代の刑事司法制度特別部会」」
7/17/2014









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category: 刑事司法改革への道

2014/07/17 Thu. 07:14 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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