「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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無罪を勝ち得るために~冤罪と戦う方法 その6 「被告人ができること 各論(2) 優秀な弁護人を選ぶこと」 7/24/2014 

無罪を勝ち得るために~冤罪と戦う方法 その6 「被告人ができること 各論(2) 優秀な弁護人を選ぶこと」 7/24/2014

私は、村上正邦氏が主宰する「日本の司法を正す会」に三度招かれました。会のパネリストの一人、早川忠孝弁護士の言葉で心に残っているものの中に、次のものがあります。

「本来、無罪になるべきものは、いかなる弁護であっても無罪にならなければならない」

勿論、その意味するところは、いかに無罪になるべき事案であっても、弁護人が無能だと、無罪になるものも無罪にならないということであることは説明を要しないと思います。それほど日本の刑事司法では、無罪を勝ち得るのは簡単ではなく、弁護人の能力が結果を左右するほど影響力があるということです。

それでは、いかに有能な弁護人を選任するか。これは非常に難しい問題です。「ホーム・ドクター」はいても、「(特に刑事弁護のできる)ホーム・ロイヤー」はほとんどの人にはいないでしょう。そうした人が刑事事件に巻き込まれた時、多くの場合、国選弁護人ということになると思われますが、残念ながら国選弁護制度は、(確率論的に)無罪を得るには十分とは言えないと考えます。

有罪率が99.9%を越える日本の刑事司法の状況を病気に例えると、無罪を得ることは、治癒率が0.1%に満たない難病と言えます。普通の風邪や腹痛ならいざしらず、そのような難病を治療できるのは、やはり専門的技術を持ったスペシャリストということになると思います。国選弁護制度は、いかなる刑事被告人も有している、弁護を受ける権利を担保するだけのもので、強大な検察組織と対峙して無罪を勝ち得るには、不十分だと思われます(勿論、国選弁護活動を社会貢献と考えて、自分の一般業務のほかに国選弁護活動をしている優秀な弁護士に当たる可能性もありますが、確率論的にそれは著しく低いものです)(注)。

私の一審・控訴審の主任弁護人であった小松正和弁護士との出会いは、拙著『勝率ゼロへの挑戦 いかにして史上初の無罪は生まれたか』に詳しく書いていますが、一言でいえば全くの偶然と私の勘でした。

それだと余りに身も蓋もないので、いかにして弁護人を選ぶかのヒントをいくつか紹介したいと思います。

冤罪により刑事被告人とされることは、人生最大(級)の危機です。その危機を乗り越えるためのパートナーを選ぶには、信頼関係が非常に重要です。そして信頼関係を築くためには、やはり相性が大切だと思われます。

「高名な弁護士先生に全てをお任せしたい」という人もいれば、私のように「インフォームド・コンセントが重要。自分も弁護団の一員として機能したい」という人もいると思います。当然、合う合わないが出てきます。弁護士も人間ですから、やはり相性の合う依頼人と合わない依頼人では、パフォーマンスに差が出てくると思われます。弁護士の弁護方針を早い段階で確認する必要があります。そのディスカッションの中で、相性は判断できるはずです。

それでは、そもそも目ぼしい弁護士にどのように当たりをつけるか。一番確実なのはやはり口コミです。優秀な弁護士は、宣伝をすることはまずあり得ないので、「刑事弁護専門!刑事弁護は我々にお任せ下さい!!」などと銘打ったホームページを掲載している弁護士事務所は一番当てにならないと考えるべきです。

口コミで引っ掛かる弁護士がいない場合、私ならどうするか。例えば、刑事弁護士の多くが読んでいるであろう雑誌に現代人文社刊『季刊刑事弁護』があります。その記事の多くは、現場の弁護士が寄稿したものですが、バックナンバーで自分の類似事案に関し、気の利いた寄稿をしている弁護士に当たるというのはどうでしょうか。その弁護士に電話をする、手紙を書く、実際に会ってみる、というスクリーニングで相性の合う弁護人を見つけることができるかもしれません。

非常にセンシティブかつ重要な問題に、弁護士費用があります。弁護活動は一種芸術であり、秀でた技術は高く売れることを彼らは知っています。しかし、これまた医療に例えれば、「医は仁術」のような要素が弁護活動にもあり、有徳な弁護士の少なからずが、依頼人の資力に見合った弁護料を請求するはずです。どうしてもある先生に頼みたい、でも手元不如意だという場合でも、諦めずに話しをしてみるといいと思います。「そんな弁護料ではできない」と言われたら、出会いがなかったと思えばいいだけで、失うものはありません(値段があってないように思われるかもしれませんが、一応弁護士会推奨の基準値のようなものはあります。それを参考にして、イメージは持っておいた方がいいと思います。しかし、やはり値段はあってないようなものなので、全ては交渉事だと考えた方がいいかもしれません)。

よい弁護士先生と出会えることを願っています。

(注)
国選弁護制度は、私選弁護士を雇えない被告人のために国がその弁護士費用を負担することで、刑事弁護を受ける権利を担保するものです。国選弁護士になることは、全ての弁護士の義務ですが、少額のペナルティを払うことでその義務を忌避することができます。以前は、「弁護士たる者、国選弁護の義務を忌避するのはけしからん」という雰囲気が業界にはあったそうですが、今は弁護士の需給バランスが崩れ、仕事にあぶれた弁護士が国選弁護で食いつなぐというケースも見られ、「私選弁護の仕事にありつけない弱小弁護士の仕事を奪ってはかわいそう」と、国選弁護の忌避には全く罪悪感がなくなったと聞きます。問題は、国選弁護士報酬が異常に低いことです。捜査当局は税金を湯水のように使い、被告人を有罪にしようとしますが、それに対抗する被告人の国選弁護士が彼らのボランティア精神に支えられているというアンバランスが実態です。

7/24/2014












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category: 無罪を勝ち得るために

2014/07/24 Thu. 00:10 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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