「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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ブック・レビュー 『無罪請負人』 弘中惇一郎著 

ブック・レビュー 『無罪請負人』 弘中惇一郎著

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刑事弁護のエース中のエース、弘中惇一郎氏初の単独著書。タイトルはダイレクトに氏のニックネームから来ている。小沢一郎氏の弁護や薬害エイズ事件、三浦和義ロス疑惑事件、それに郵便不正事件といった著名事件の弁護人を務め、表題のニックネームを得ることになった弘中氏が刑事弁護について語った書。

この書で彼の目指すところは、その序章で宣言されている。
「社会のゆがみはいかにして事件として世に噴出するかのか。あるいは事件は時の権力にどう利用されてきたか。社会が変わっても警察・検察組織の体質が変わらないのはなぜか。それらをできる限り掘り下げて、一つひとつの問題点に光を当てていけば、刑事事件が抱える問題のいくつかに対する打開策のヒントが見つかるかもしれない。これからそれを一緒に考えていきたい。」

「無罪請負人」と呼ばれることに関して強い抵抗を感じてきたと弘中氏は述べている。
「すべての事件で無罪を目標にできるわけではない。執行猶予をとることや、できるだけ量刑を軽くすることが目標の事件はたくさんある。ケースによっては、結果よりも、被告人として主張したいことを十分主張させることがまず大事なこともある。何が何でも無罪獲得というものではない。」
とはいえ、やはり刑事弁護をする者にとって、「無罪請負人」というのは最大級の賛辞であろう。

私がこの書の中で一番心に響いたのが、郵便不正事件について書かれた章の次の部分であった。

「刑事事件に巻き込まれるという事態は、ひとつの不運である。

不運にどう対処できるか。検察と対峙して取調べにきちんと対応すること、無実を信じて支援してくれる仲間がいること、囚われの身となっても家族や職場がそのまま保たれていること―それができない人間は非常に弱い存在となる。

その意味で刑事事件では、当人がそれまで送ってきた全人生、人間性のすべてが試される。」

まさにその通りであり、その真の意味は経験した者にしか分からないかもしれない(更に言えば、復職の道が確保されている公務員というのはうらやましい限りだと感じたことも正直なところである)。

私のような刑事被告人経験者でない一般の方に一番読んでもらいたい章が、薬害エイズ事件とロス疑惑事件を扱った「メディアとの攻防」という章である。

私はこれまで、日本の司法制度は三審制ではなく、その前に検察起訴前取調べという「予備審」があると思っていた。それがいわゆる第一審として機能するがゆえ、異常なほど高い不起訴率と刑事裁判の有罪率が説明できると考えていた。

ところが、日本においてはメディアが有罪を決定するということもあるということがまざまざと描かれているのがこの章である。即ち、メディアが犯罪者というレッテルを貼ることにより、起訴すらされていない被疑者であっても、世の中の認識は「有罪判決を受けた犯罪者」と同等となりうるということである。

刑事弁護をする場合には、不完全な刑事司法のシステムは如何ともし難く、しかしそれに不平不満を言うよりは、何とかその中でもベストを尽くすという刑事弁護人としての弘中氏の心意気が全編から強く伝わった。そして彼が、自分が完全にコントロールできないそして暴走する検察組織や「絶望の裁判所」以上に怖れているのが、メディアの肥大化ではないだろうか。

刑事司法に関心を持つ人には勿論、メディアの在り方に興味を持つ人には是非読んでほしいと思ったのがこの書を読んだ感想であった。

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表紙1






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category: ブック・レビュー

2014/07/27 Sun. 00:01 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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