「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

06« 2017 / 07 »08
1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.

外資系証券なるもの (15) 「9.11」 

外資系証券なるもの (15) 「9.11」

私の家にはテレビがありません。もともと広い家に住むことには憧れが全くなく、手狭な部屋ではスペースがもったいないという、実に消極的な理由でテレビを持っていませんでした。

ソロモン・ブラザーズ証券を辞めた2001年当時は、世田谷区用賀の六畳のワンルーム・マンションに住んでいました。部屋が少し広くなりビデオ観賞用のテレビを買ってもアンテナにつなげることはありませんでした。別にテレビが嫌いなわけではなく、子供の頃はドリフや『太陽にほえろ!』を毎週欠かさず見る普通のテレビっ子でした。今でも旅行で旅館の部屋にテレビがあると、テレビに見入ります。ただ、日常にテレビが介在することは全くありません。

仕事をしていた頃は、世界はニューヨークを中心に回っていたため、海外ニュースのアクセスはブルームバーグと言われる金融業界御用達のニュース端末やインターネットが重要なソースでした。日本の新聞は読む必要もなく、朝の通勤電車の中は、専ら小説を読む時間でした。

テレビがなくて唯一不便なことは、大きな事件が起こった時に、リアルタイムでフォローできないことです。私が、クレディ・スイス証券に入社して3ヶ月後に起こった9・11がまさにそうでした。

私はその頃は目黒区祐天寺に住んでいましたが、港区神谷町のオフィスまで、中目黒乗り換えの地下鉄日比谷線を使って通勤していました。ところが、月に一、二度朝寝坊をし、どうしても必要な時にはタクシーを使いました。タクシーだと車の中からニューヨークのトレーディング・デスクに電話ができるからです。

9・11の翌朝がたまたまそうでした。日本では夜のうちから大騒ぎになっていたようでしたが、私は全く知らず、朝寝坊をしてタクシーに飛び乗り、顧客の注文の状況を確認しようとニューヨーク・オフィスに電話をしました。

いつものように話し始める私に向かって、ニューヨークのトレーダーが言いました。
「何言ってるんだ。何が起こってるか分かってないのか。今どこだ」
「何かあったのか。今会社に向かってるところだけど」
「とにかく急いでオフィスに向かえ。そしたら分かるから」

朝の七時半頃オフィスに駆け込んで、ようやく状況が飲みこめました。かつてはソロモン・ブラザーズ証券の本社があり、ニューヨークに住んでいた頃は自分の部屋の窓から目の前にあったワールド・トレード・センターでした。その見なれたビルが崩壊する様は衝撃的でした。

市場は完全に機能を停止していました。それでもニューヨークのトレーダーは、顧客の注文の約定を執行しようと考えていました。電話でニューヨークと議論しながら、それは私にとっては大きなギャンブルとしか思えませんでした。

「客のリアクションを探ってから決めよう。もし彼らが緊急事態であることを理解して、我々がマーケットメークしないことに納得してくれたらこの取引はやるべきではない」

私は自分の考えをニューヨークのトレーダーに言いました。こうした状況で英雄になろうとすることは、大けがの元です。結局、顧客も事の重大さから、注文の執行ができなかったことに不満を唱えることはありませんでした。

この時ばかりは、テレビがあった方がいいかなと思ったものです。しかし、結局、それ以降も仕事や日常に忙殺される中、テレビをアンテナにつなげることはありませんでした。










好評発売中!!

ここをクリック→ Amazon 『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』 カスタマーレビュー


表紙1

こちらもどうぞ。

有名人

ここをクリック→ Amazon 『税金官僚に痛めつけられた有名人たち』






ここをクリック→ Wikipedia クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

ここをクリック→ 八田隆ツイッタ―

ここをクリック→ #検察なう 刑事司法の矛盾、冤罪と戦う八田隆と全ての人を支援する会






TwitterやFacebookでの拡散お願いします。

category: 外資系証券なるもの

2014/08/24 Sun. 23:11 [edit]   TB: 0 | CM: 0

go page top

この記事に対するコメント

go page top

コメントの投稿

Secret

go page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://fugathegameplayer.blog51.fc2.com/tb.php/746-0e26ef04
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

go page top