「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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「死刑制度について考える(3)~死刑の抑止力」 

「死刑制度について考える(3)~死刑の抑止力」

死刑制度について考える際に、私が一番重要視したいのは、死刑囚の人権でもなければ、被害者感情でもなく(勿論、それらを無視するわけにはいきませんが、より重要なのはという意味で)それ以外の大多数である我々社会の成員に、死刑制度が有益かどうかという点です。

つまり、死刑制度があることによって、死刑相当の殺人行為は減少するのか否かということです。

死刑に抑止力があるかどうかは、いかにして検証することができるでしょうか。考えられるのは「死刑制度を廃止した国、地域でその後殺人が増えたか」であるとか、「アメリカでは死刑を廃止している州と存置している州が混在しているが、それぞれの殺人率の差はいかなる状況か」ではないでしょうか。

前者に関しては、カナダのケースで以下のリンクに示されたデータ、
ここをクリック→ 世界各国の死刑存廃状況「カナダ」

後者に関しては、以下のリンクに示されたデータが参考になるものと思われます(注)。
ここをクリック→ "States Without the Death Penalty Have Had Consistently Lower Murder Rates"

いずれも死刑には抑止力がないかのようなデータとなっていますが、データというのは集計の仕方によっていかようにもなるものであり、死刑擁護派が同じロー・データを元に、逆の結論を導くことは可能だと思います(前者のリンクでは下の方にそのような論証を行っており、興味深いものです)。

それよりは論理的に「もし、死刑を廃止することで殺人が顕著に増えたのであれば、廃止した国、地域が廃止したままのはずがない」と考える方が、私にはよほど説得力があります。

私個人は、死刑に抑止力はないのではないかと感じていますが、先日読んだ、永井均著「子どものための哲学対話」に興味深い文章がありました。この本は、中学2年生の「ぼく」となぜか人間の言葉を話すネコ「ペネトレ」の会話で哲学論が展開します。その部分を引用します。

ペネトレ 「世の中がきみに与えることができるいちばん重い罰は死刑だね?死刑以上の重罰はないだろ?ということはつまり、世の中は、死ぬつもりならなにをしてもいいって、暗に認めているってことなんだよ。認めざるをえないのさ。」

ぼく 「そうかなあ・・・・。」

非常に逆説的な論ですが、一種の真理は捉えていると思います。そして「ぼく」の納得できない違和感は、我々の誰しもが感ずるところなのではないでしょうか。

死刑に過大な抑止力を期待する場合、上のような状況が矛盾として生まれると思われます。

人は法律があるからしてはいけないことがあると思っているかもしれません。しかし、殺人罪を規定した刑法の条文を読めば、そうではないことは明らかです。

刑法第199条
「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する」

法律は人を殺してはいけないとはせず、ただ単に「人を殺した者は以下の罪を与える」と規定しているのみです。人は、法律があるから、あるいは死刑があるからという理由で人を殺さないわけではないと思います。

死刑によって我々が一番怖れるべき殺人の形態である無差別通り魔殺人が防げないことは明らかです。まさに彼らは「死刑になっても構わない」という思いで凶行に臨んでいるからです。

「普通の人は、死刑がなくても人は殺さない。人を殺す人は、死刑があっても人を殺す」ということなのではないでしょうか。

死刑に殺人の抑止力がないからといって、そのまま廃止しなければならないとは思いませんが、存置・廃止を考える上で非常に重要なファクターだと思います。

(注)
私見ですが、日本でなぜ死刑制度が廃止されないかという理由は、「アメリカが廃止していないから」と「冤罪に理解がないから」だと思っています。つまり、アメリカで全州死刑が廃止されれば、あるいは人々が、冤罪は構造的に起こっており、日本の刑事司法のシステムでは冤罪を防ぎきれないということを理解すれば、議論の余地なく死刑は廃止されるという結果になると思います。そういう日が来るかは分かりませんが。
















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category: 死刑制度について考える

2014/09/01 Mon. 02:46 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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