「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (424) 「「クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件」司法手続き、税務手続きそのほかここまでの経緯と現在の状況」 10/13/2014 

#検察なう (424) 「「クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件」司法手続き、税務手続きそのほかここまでの経緯と現在の状況」 10/13/2014

「クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件」は、外資系証券業界全体で数百人(クレディ・スイス証券だけでも約100人)株式報酬の無申告による申告漏れがあった中で、私一人だけが故意の脱税を問われ、告発・起訴された事件です。

外資系証券の多くは、給与・賞与及び退職金の一部を会社の株式で支払っていましたが、その株式報酬に対する所得税を源泉徴収するかどうかは会社の判断によるというのが当時の実態でした(現在では、クレディ・スイス証券を含み、私の知る限り、全ての外資系証券が株式報酬に係る所得税を源泉徴収しています)。

依然、司法手続き、税務手続きともに進行中であり、来る10月20日には国賠審の第二回口頭弁論を迎えるという現在の状況と、ここまでのおおまかな経緯を振り返ってみます。

全ての始まりである、外資系証券会社数社の株式報酬受給者への一斉税務調査は、2008年11月のことでした。そしてその一月後、国税局査察部は私に強制捜査を行いました。

私はサラリーマンの常識として、会社の給与に係る所得税は全て天引きされていると思い込み、年末会社から渡される源泉徴収票に記載されていない給与・賞与があるなどとは想像だにしなかったものです。

私に対する査察部の捜査・取調べは異例の1年以上に亘り、私は2009年12月に刑事告発されました。私がそのことを知ったのは、2010年2月、確定申告シーズン真っ盛りというタイミングでの国税局のリークによる新聞・テレビによる実名の一斉報道でした。

その後、東京地検特捜部の取調べが開始するまでに、更に1年半もの時間が経過し、2011年9月に特捜部の取調べが開始。その12月に私は起訴されました。告発から起訴まで、これも異例の2年が費やされました。

それに先立つ2010年4月に、国税局は重加算税を賦課し、私はこれを一旦支払いながら、6月に異議申立を行いました。重加算税賦課の要件は、仮装・隠蔽を伴う悪質な脱税ですが、そうした事実は一切なかったからです。これが司法手続きと並行して現在も継続中の税務手続きの始まりです。異議申立に対しては、通常2-3ヶ月のうちに決定がなされるものですが、私のそれは長らく棚上げされ、何の決定もなされないまま放置されていました。その間、幾度となく口頭及び文書で、重加算税賦課理由の説明を国税局に求めましたが、彼らは黙殺するのみでした。

刑事裁判の公判は、2012年2月に始まりました。その後、第一審公判は11回を数えます。そして2013年3月1日に、歴史が大きく動きました。査察部告発・特捜部起訴の事案で、日本の歴史上初めての無罪判決が東京地裁(佐藤弘規裁判長)で出されました。

一審判決の骨子は、「弁護側主張による有罪立証に消極的な証拠を採用せずとも、公訴事実(=故意の脱税)を認定するには、合理的な疑いを越える立証が検察によってなされていない」とするものでした(注1)。

検察は控訴。刑事裁判は第2ラウンドである控訴審に移りました。

被告人控訴と検察控訴では、通常、裁判所の扱いは大きく異なります。被告人控訴の多くが門前払いであるのに対し、検察控訴ではどんなに些末な証拠でも「新証拠」と認められ、実質審理が行われるのが通例です。しかし、控訴審裁判体(角田正紀裁判長)は検察控訴をまさに瞬殺でした(注2)。

そして控訴審でも無罪判決維持。

控訴審判決は、一審判決から更に踏み込んで、「有罪立証のためには、消極証拠も評価しなくてはならない」と積極証拠のみを評価する検察立証の脆弱さを批判するものでした(注3)。

そして私は、検察に上告をさせるべく(注4)有言実行で、放置されていた税務手続きの次のステップに進むことになります。それが不服審判請求です(注5)。

しかし検察は、「上告の理由が見当たらない」という、それではそもそも起訴、控訴の理由はあったのかと思わず言いたくなる理由で上告を断念し、私の無罪は確定します(注6)。

その後、国税局は理由を全く告げることなく突然、重加算税を取り消します。それは、不服審判請求に対する利益を喪失させる「認諾」に等しい行為と言えます(注7)。重加算税賦課の理由を説明せずに逃げ切ろうという国税局の姑息さが表れているものです。現時点において不服審判は依然係争中です。

そして刑事裁判の決着に続いて、原告と被告を入れ替え、私が原告、国を被告として争っているのが、現在係争中の国賠審(国家賠償請求訴訟)です。

国税局、検察は私の無実を知りながら告発、起訴したものですが(彼らは真実を見抜けない程無能ではありません)、それを裁判所が認定するかどうかがポイントです。

国賠審において法廷で行われるのは「口頭弁論」と呼ばれますが、その言葉のイメージするところとは異なり、法廷でのダイナミックなやり取りというよりは、書面での審理が中心となります。

第一回口頭弁論に先立ち、私と私の代理人チームは原告として訴状を提出(注8)。そして先日、第一回口頭弁論が開かれました(注9)。

その後、国の反論として準備書面が提出されたのが9月末のことです。

次回のブログでは、この準備書面に関して取り上げたいと思います。

(注1)
ここをクリック→ #検察なう (307) 「一審無罪判決文解題」

(注2)
ここをクリック→ #検察なう (349) 「控訴審公判法廷画 by 高杉ナツメ」

(注3)
ここをクリック→ #検察なう (368) 「控訴審第二回公判報告~検察控訴を棄却!」

(注4)
ここをクリック→ #検察なう (369) 「検察よ、遺憾というのなら正々堂々と上告せよ」

(注5 )
ここをクリック→ #検察なう (370)「検察上告を促すべく、不服審判請求をしました」

(注6)
ここをクリック→ #検察なう (372) 「無罪確定なう!」

(注7)
ここをクリック→ #検察なう (401) 「更なる完全勝利、国税局も白旗」

(注8)
ここをクリック→ #検察なう (415) 「国賠審における論点を整理する」

(注9)
ここをクリック→ #検察なう (413) 「国賠審第一回口頭弁論法廷マンガ by 高杉ナツメ」

10/13/2014










ここをクリック→ Amazon 『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』 カスタマーレビュー


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category: クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

2014/10/13 Mon. 00:18 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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