「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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無罪を勝ち得るために~冤罪と戦う方法 その12 「早稲田大学大学院法務研究科授業より 『有能な弁護士に依頼する』」 

無罪を勝ち得るために~冤罪と戦う方法 その12 「早稲田大学大学院法務研究科授業より 『有能な弁護士に依頼する』」

早稲田大学大学院法務研究科授業シリーズ最終回です。前3回の内容はこちらで。

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拙著『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』には、一審・控訴審での主任弁護人小松正和弁護士との出会いを書きました。それを読んでも、早稲田大学大学院法務研究科講師の児島先生には、なぜ私が小松弁護士に依頼したかはミステリーだったようです。

児島先生 「八田さんは、紹介された小松先生に断りの電話を入れたところが、その電話の会話から依頼することを決心したということでしたよね。その電話の会話が具体的にどんなものであったか、記憶しているところでいいんで、何かありますか」

小松弁護士は私の会社の元同僚の紹介でしたが、彼の弁護士事務所のホームページで略歴をチェックしたところ、刑事弁護の経験が浅そうだったので、私は最初断ろうと思いました。紹介された以上、断るにしても電話の一本を入れるのは礼儀だろうと、電話をしたことが彼との出会いのきっかけでした。その電話でしばらく事件にからんで雑談をするうちに、「この先生にお願いしよう」とひらめいたことが依頼につながりました。

私は、児島先生からそのように聞かれた時は、電話の会話の具体的な内容はすっかり忘れていました。記憶していた印象は、本で書いたように、お互い補完関係でいいチームができる雰囲気を感じたというものです。

その後、しばらく話が進む中で、小松弁護士が会話の内容を思い出しました。

「あ、そうそう、その電話で八田さんには、検察が不起訴にできるよう、彼らが対内的にメンツを立てられるように言い訳を考えてあげなければっていうことを話したんですよ」

国税局査察部に刑事告発された時、彼らは私の無実を知りながら告発したことを私は確信していましたが、「仕事だから仕方ないんだろうなあ」と一面冷めた感覚を持っていました。小松弁護士と最初の電話での会話で、その「仕事だから仕方ない」という諦めを打破する案を一緒に考えてくれるような印象を持ったことを、彼の言葉を聞いて思い出しました。

世の中には本音と建前があることは常識ですが、非常に合理的な世界で仕事をしていた私と国家権力は対極的な位置にあると感じます。彼らの論理には建前の部分が非常に大きいと考えています。彼らも本音では、無実だと分かっている人間を罪に陥れることはよくないと思いながらも、建前がその判断を歪めてしまうのが、彼らの価値観だと理解しています。

法律論や事実認定といった正面突破の議論では通用しないことを感じながら、全くどうすればいいのか暗中模索の真っ暗闇に、ぽっと遠くに明かりが見えたような感覚をその電話の会話で感じたものです。

その後、小松弁護士が言ったことです。
「電話をもらった時はてっきり依頼の電話かと思ったのですが、断るということだったので、会ったこともないのにわざわざ断りの電話を入れてくるのは律義だなあ、と感じたのを覚えています」

偶然の出会いというのはこういうものかもしれません。

刑事裁判の有罪率は99.9%を越えます。つまり病気で言えば、治癒率0.1%以下の難病です。その難病治療の依頼は、町医者レベルでは心もとないと言うべきでしょう。弁護士業も職人芸ですから、やはり匠の技を持った弁護士に依頼したいものです。

以前のブログにも、よい弁護士を選ぶ一助となるであろう私の考えを書きましたが(注)、実は弁護士のよしあしを見分けるのはそれほど難しいことではないようにも感じます。勿論、全ての仕事に言えることですが、実際やらせてみないと実力は測れないということはあるものの、弁護士業は、人(=裁判官)にアピールしてナンボです。依頼人のあなたの心をつかめない弁護士が、裁判官の心をつかめるとは到底思えません。勿論、独創的な発想+論理的な思考とプレゼンテーション能力は別だと考えることもできますが、それぞれが十分条件ではないものの、必要条件だと思います。

是非、弁護士を選ぶ際には、じっくり話をしてみて、納得のいく弁護士に依頼することがあなたのためになると私は信じています。

(注) 
ここをクリック→ 無罪を勝ち得るために~冤罪と戦う方法 その6 「被告人ができること 各論 (2) 優秀な弁護人を選ぶこと」













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category: 無罪を勝ち得るために

2014/12/11 Thu. 06:55 [edit]   TB: 0 | CM: 3

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この記事に対するコメント

八田さんへ
「彼らも本音では、無実だと分かっている人間を罪に陥れることはよくないと
思いながらも、建前がその判断を歪めてしまうのが、彼らの価値観だと理解しています」と書いてありますが、私も同感です。経験した者でなければ言えない
言葉だと思いますが
反面、優秀な頭脳を持っているはずの検察官がときに、この人のこれからの人生がどうなるのだろう…などと考え無いのでしょうか?
法治国家である以上、罪を犯せばそれなりの処罰を受けるのは当然のことと思いますが、ときに犯罪を創り上げるようなことを平気で行う行為は本音とか建前
以前の話ではないでしょうか…
村木事件などもそうですが、その背景にあるのは彼らの出世欲・権力欲・そして組織防衛しか頭に無いのでは?そのように感じます。
犯罪をやってもいない人間が何故自白すると思いますか…
普通に生活をしている人間が何日もあたかも犯罪を犯したように
犯罪者扱いで密室の取り調べ室で責められ、彼らのストーリーと違えば、
とことんストーリーに沿うまで執拗に責めた立てられ、事実を伝えても全く
聞く耳などは持ちません…多くの方が諦めと絶望の中で認めざる得ないのが
実情では…当然、話の裏もとるでしょうが違っていてもそれこそ面子にかけても犯罪者に仕上げてしまいます。これが現実ではないでしょうか?
遠隔操作ウィルス事件でも罪の無い学生さんが自白していますよね…それも
犯してもいない犯罪を犯した如く動機まで詳しく調書になっているようです。
罪を犯していない人間の一生を壊して、動機までストーリーに沿って書かした
人は罪には問われていませんよね…ここまで行くと彼らの正義感とはいったい
何なのか?
法治国家に於いてなくてはならない組織であることは理解できますが世間の
常識から少し乖離しているのでは?
そんな気がしています。決して勝つことは無い戦いとは思いますが
まさに「蟷螂の斧」が如く敢然と戦っておられる八田さんに
ただただ敬意を表します。いつも拝見させていただいております。


#- | URL | 2014/12/12 Fri. 00:28 * edit *

メッセージありがとうございます。

検察官にもいろいろな方がいると思います。出世欲・権力欲・組織防衛に汲々としている方もいるでしょう。それであれば、我々一般人との常識のギャップは計り易いのですが、そうでない方もいるのではないかと思い、そちらの方が、我々の計り知れない暗部を抱えているのではと考えています。

エリート検察官が何を考え、どこに行こうとしているのかは私も非常に興味深いところです。まだ告知前ですが、3月に前田恒彦元検事が名古屋の弁護士会で講演をします。その時の対談相手として、彼が私を推薦してくれていますので、その対談が実現したならば、じっくりその辺りを聞いてみたいと思っています。

引き続きご注目頂き、応援のほどよろしくお願いします。

八田

八田隆 #- | URL | 2014/12/12 Fri. 00:57 * edit *

八田さんへ
メッセージへの返信ありがとうございます。前田元検事との対談が
行われることを期待します。対談できましたら、是非共ブログで
内容をお知らせください!検察の恥部・暗部なども包み隠さず
お話を聞けるとよいですね。前田元検事も失うものは無いと思いますので正直にお話していただきたいと願っていますが…
これからも八田さんのブログを拝見させていただきます。

#- | URL | 2014/12/12 Fri. 20:53 * edit *

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