「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (437) 「福井女子中学生殺人事件 再審の扉が閉ざされる 「疑わしきは確定判決の利益に」」 12/15/2014 

#検察なう (437) 「福井女子中学生殺人事件 再審の扉が閉ざされる 「疑わしきは確定判決の利益に」」 12/15/2014

3年前に一旦再審開始が決定されたものの、検察の異議申し立てにより、昨年再審開始決定が取り消され(注)、弁護側は特別抗告していました。先週、最高裁判所第2小法廷(千葉勝美裁判長)は特別抗告を棄却、再審の扉は再び閉ざされてしまいました。

報道はこちら。
ここをクリック→ NHKニュース「福井女子中学生殺害 再審認めず」

冤罪被害者の前川彰司氏、そのご家族、そして支援してきた方々は、この理不尽な判断に、さぞかし悲憤慷慨していることと思います。特に、いつも支援の前面に立たれていた父親の悲しみ、悔しさは計り知れず(母親は失意のうちに他界なさっています)、私も人の子、人の親として心情察するに余りあります。

具体的な事件の詳細を知らずとも、「決定された再審開始が取り消される」ことの重大さを、まずご理解頂ければと思います。

日本の刑事司法においては、有罪率は99.9%を越え、無罪を得ることは非常に困難です。そして三審制を経て確定した判決を覆す可能性のある再審を開始させることは、更に困難です。なぜなら、運用上再審が行われれば、ほぼ無罪となることが決まっているとされているからです。ただでさえ得ることが困難な無罪判決を、三審制を経て有罪が確定した後に得ることになる再審開始は「針の穴にラクダを通す」ほど大変だと言われます。

再審が困難である最大の理由は、再審請求の際に提出される証拠に「新規明白性」を求めるからだと思われます。確定判決に至るまでに、証拠のほとんど全てが検討されつくされていると思われます。それにも関わらず、全く新たな、しかも確定判決を覆すに明白な証拠がなければ、再審は行われないというハードルは非常に高いものです。

福井女子中学生殺人事件においては、再審請求に際して、裁判所からの勧告で検察による新たな証拠開示がなされ、その新証拠を元に再審開始が決定されました。福井女子中学生殺人事件は一審無罪で、控訴審で有罪に覆されましたが、それら証拠があれば一審の無罪はもっと堅固であり、控訴審で覆ることはなかったかもしれません。検察による悪質な証拠隠しは、この事件に限った事ではありません。

しかしながら、再審開始決定を取り消した昨年の名古屋高裁の判断、そして今回の最高裁の判断は、共に、「提出された証拠に新規明白性は認められず、再審開始事由に当たらない」というテクニカルなもので、実質審理がなされたものではありません。

このことは、我々にとってどのような意味をもつのでしょうか、少し考えてみたいと思います。私は、これは前川氏個人の問題ではなく、我々国民全体への脅威だと考えています。

一審無罪、そして再審開始決定という二度の無罪判決(相当)という判断がなされたことは、事件の有罪立証に合理的な疑いがあることは明らかだと言えます。それにも関わらず、無罪になっていないということは、日本において推定無罪原則が機能していない証左です。今回の一連の再審開始決定の取り消しの判断は、日本の裁判所(しかも最高裁判所を含む)が、刑事司法の大原則を蹂躙したという極めて由々しいものだと考えられます。また、その経緯を考えると、検察の証拠隠しという犯罪行為を裁判所が不問にしたということでもあります。これが、我々国民全体に対する脅威でなくして何でしょうか。

そこに見えるのは、「疑わしきは確定判決の利益に」という論理であり、人権よりもシステムの安定や権威の保身を重要視しているものです。

再審開始決定自体まれなので、再審開始決定が取り消されたケースは、極めてレアではありますが、初めてのことではありません。名張毒ぶどう酒事件、大崎事件という超ド級冤罪でも起こったことです。そろそろ我々国民も刑事司法リテラシーを高め、このような国家権力による人権侵害を監視、抑制するだけのパワーを持たなければならないと考えます。

まずは、再審開始決定に対する検察の異議申立は認めない立法化が必要です。その延長線上には、私が刑事司法改革に一番効果的だと考える検察上訴権の廃止があります。

是非とも事件のことを知り、今回のことが持つ意味を考えてほしいと思います。

ここをクリック→ 冤罪ファイル 「福井女子中学生殺人事件」

(注)
昨年、再審開始決定を名古屋高裁が取り消した際の報道。
ここをクリック→ 福井新聞「再審取り消しに「長すぎる冬」前川さん父、女子中学生殺人事件」

12/15/2014













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ここをクリック→ Wikipedia クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

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category: 冤罪事件に関して

2014/12/15 Mon. 06:07 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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