「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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日刊ゲンダイ 実録「マルサの事件簿」 7/16/2011 

日刊ゲンダイ 実録「マルサの事件簿」 7/16/2011

クレディ・スイス集団申告漏れ第5回


社内の賞与支払い制度「ファントム・ストック(FS)」で受け取った株式に絡む所得税を申告せず脱税した疑いで、東京国税局査察部の強制調査を受けた「クレディ・スイス(CS)証券」の八田隆元部長。

意図的に所得を隠した認識は全くなかったが、「2ヵ月から3ヵ月で終わる」という査察官の言葉を信じて、移住先のカナダ・バンクーバー市から毎月帰国。査察部の聴取に応じた。

米国の証券口座に振り込まれた親会社「クレディ・スイス・グループ」の株式を売却して得た資金。これを移したシンガポールのスイス系銀行の口座はかなり以前に自分名義で開設したもので、いわゆる〝隠し口座〟ではない。会社が査察部に提出した「税務セミナーを年1回開催していた」という資料は、全く記憶にない。無申告額が約3億5000万円と大きいのは、退職に伴って将来分の株式まで一度にもらったためだ。

こうした事実を基に、八田元部長は意図的に所得を隠したのではないと、何度も強調した。査察から4ヵ月が過ぎ、14回目の聴取を終えた2009年4月。「今月はもう終わり。来月また帰国してください」という査察官の声に八田元部長は耳を疑った。

「どうしてこれほど時間がかかるのです?」
「上司が『おまえはだまされている』と言って納得してくれないのです」
「その上司と直接面談させて下さい。それが無理なら、私が意図的に脱税したという確たる証拠を示して下さい」
「上司と相談します」

このやり取りのあと、査察部からの連絡はプッツリ途絶えた。次の聴取は半年後の同年10月末。

「何か進展があると思ったが『告発に向け依然調査中』という回答でした。半年前にお願いした上司との面談を強硬に主張したところ、上司に当たる統括官とお会いすることができたのですが…」(八田元部長)

その統括官とはこんなやり取りだった。
「何が怪しいと思われるのですか?」
「金額です。何百万、何千万という金額なら知らなかったということもあり得るかもしれませんが、億を超える金額に気付かないということだけが腑に落ちないのです。
(意図的に所得を隠したという)証拠は出ていません。調査が長引いているのはそれが理由です。でも、私たちの仕事はあなたを告発することです」

そしてこの4ヵ月後の10年2月。査察部は所得税法違反の疑いで八田元部長を東京地検特捜部に刑事告発した。07年までの3年間で隠した所得は約3億5000万円、脱税額は約1億3000万円にのぼる。バンクーバー市にいた八田元部長は、マスコミの報道で初めて自分が告発されたことを知った。

約100人のCS証券社員が追徴課税されたFSの申告漏れ問題で、告発されたのは八田元部長ただひとり。査察部が強制調査の対象にしたもうひとりの元幹部社員は、最終的に告発を見送られ、追徴課税のみの処分にとどまった。

「〝一罰百戒〟が狙いなのでしょう。告発後に高名な元検事の弁護士に事情を説明したら『痴漢の冤罪と同じ。納得することが大切だよ』と言われました」(八田元部長)

この事件、実はまだ終わっていない。告発から1年5ヵ月も経つのに、特捜部は八田元副部長の聴取さえしないまま放置しているのだ。48歳になった八田元部長は、人生の新たな展開も探れないまま、いたづらに人生の浪費を強いられている。意図的な脱税の証拠が出ないまま、査察部の告発を受理した特捜部。今後の成り行きを注視したい。
(了)

ここをクリック→ 日刊ゲンダイ記事 「実録 マルサの事件簿」


category: クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

2011/07/16 Sat. 01:01 [edit]   TB: 0 | CM: 1

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この記事に対するコメント

坂本様

ご連絡ありがとうございます。

①課税処分はカナダ移住以前のものです(現在は日本非居住者)。②課税は給与(賞与)所得に対するものです。③海外給与であれ、国内の課税対象となります。その点に関して私の誤解はなかったのですが、単純に海外給与も源泉徴収の対象として給与天引きされていたと誤認していただけです。株式は保有・売却のいかんを問わず、全て付与時にその時価での所得と認識し、所得税の対象となるというのが国税局の判断です。

過少申告に関して、私は全く異議を唱えることなく、納税の意志を国税局に伝えました。しかし、その後の査察部の捜査で、それが故意のものである、即ち脱税だとされたことには否認を貫いております。

先週より、ようやく地検特捜部の取り調べが始まったところです。このブログは日刊ゲンダイの記事をアップするため作成したものですが、これまでの経過報告をアップすべく、また訪れたところ貴殿のメッセージを受け取ったものです。返信が遅れまして誠に申し訳ありませでした。

八田



> 非常に興味があります。①カナダに移住されていると言うことですが非居住者か居住者か?②課税は給与所得か?③給与所得には国内分何%国外分何%と言う概念がなくすべて国内源泉所得とされる。国内源泉所得であれば国外で支払われるいわれはない。形式的に海外の口座に振り込んだだけを持って国外払いと認めると源泉徴収制度そのものが成り立たなくなる。また、給与受給者が直接税務署(国税局)に賦課されることはない。つまり課税そのものが無効の可能性があるのではないか?④社員のおよそ3分の1の者が対象となったとありますが保有し続けている株式について時価との差額に課税された者はいないでしょうか?取得価格との差額は株式評価益(未実現利益=架空利益)に課税されていないかなどいかがでしょうか?

ふーがパパ #- | URL | 2011/09/25 Sun. 10:26 * edit *

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