「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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「死刑制度について考える(10)~死刑囚に反省を求めること」 

「死刑制度について考える(10)~死刑囚に反省を求めること」

犯罪者には自分の犯した罪の深さを思い知ってもらい、心からの真の反省を求めるのは普通の心持ちだと思います。犯罪者が人の心を取り戻すことは、犯罪者本人にとっては勿論よいことだと考えられ、社会に戻ってくる有期刑であれば、我々にとってもよいことだと言えます。

そう何気なく考えていた私は、先日読んだ青木理氏著の『絞首刑』の中に紹介された死刑囚の手紙を読んで、虚を衝かれたような気持ちになりました。

その死刑囚は、一人の男性を私怨により殺害、それを目撃した3人の女性を拉致して、一人を殺害、二人に重傷を負わせ、一審で死刑判決を受けました。一審公判で遺族に対し頭を下げたことを「死刑逃れのパフォーマンス」と検察官に非難されたことから、一切の反省を捨て、控訴も自ら取り下げ、死刑を確定させています。

一審で弁護人となった弁護士の言葉です。

「事件は凶悪そのものですが、それだけに初めて接見した時は、あまりに普通の青年なので本当に驚きました。反省していない、ということも決してありませんでしたね。彼は私に何度も『信じてもらえないかもしれないけれど、反省という言葉しかない』と繰り返し言っていましたから」

その死刑囚の手紙を一部抜粋します。

「俺の考えでは死刑執行しても遺族は、ほんの少し気がすむか、すまないかの程度で何も変わりませんし、償いにもなりません。

俺個人の価値観からすれば死んだ方が楽になれるのだから償いどころか責任逃れでしかありません。

死を覚悟している人からすれば死刑は責任でも償いでも罰ですらなく、つらい生活から逃してくれるだけです。

だから俺は一審で弁護人が控訴したのを自分で取り下げたのです。

死を受け入れる代わりに反省の心をすて、被害者・遺族や自分の家族のことを考えるのをやめました。

なんて奴だと思うでしょうが死刑判決で死をもって償えと言うのは、俺にとって反省する必要ないから死ねということです。

人は将来があるからこそ、自分の行いを反省し、くり返さないようにするのではないですか。将来のない死刑囚は反省など無意味です。」

青木氏は述べます。

「いかに納得し難くとも、いかに許し難くとも、その主張は死刑という究極の刑罰が孕む矛盾の一端を確実に抉っている。同時に、現在の刑事司法とそれを取り巻く社会やメディアへの本質的な疑義も突きつけている。

彼は当初、確かに贖罪と反省の芽を心の中に抱いていた。そんな彼が裁判を受ける中、事実をねじ曲げてでも「極刑ありき」に突き進むだけの刑事司法やメディア、社会への反発と憎悪をたぎらせ、ついには自ら控訴を取り下げて「反省などしない。遺族のことも考えない」と言い放つ心境に立ち至った。「どうせ殺されるのだから反省など意味がない」というのも、いわば剝き出しの“正論”である。この圧倒的な“正論”に、いったい誰が真正面から反駁を加えられるだろうか。」

罪を犯した者は自分の犯した罪の重さを思い知り、社会は深く反省し悔い改める者を赦すという方向性と、死刑制度とは真逆にあることだと理解させられます。もし反省をせず悔い改めることがないのであれば、そのまま監獄に閉じ込めておけばいいだけであるのに(終身刑や不定期刑(注))、なぜ死をもって反省の芽を摘み取る必要があるのか。

死刑制度を含めた刑罰の在り方を、いかに社会を構築していくかという観点から考える必要があるように考えます。

絞首刑

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(注)
不定期刑的な有期刑としてノルウェーの例
2011年7月22日に、ノルウェーの首都オスロ政府庁舎爆破事件とウスヤ島乱射事件が連続して発生した。政府庁舎爆破事件により8人、銃乱射事件により69人がそれぞれ死亡しており、両事件で77人が死亡。両事件は極右思想を持つキリスト教原理主義者のアンネシュ・ブレイビク(当時32歳)が起こした連続テロであり、歴史上最大の短時間大量殺人とされる。ノルウェーでは死刑及び終身刑が廃止されているため、判決は禁固最低10年、最長21年が言い渡された。これはノルウェーでは最高刑である(「人道に対する罪」が適用されれば禁固30年。司法当局はブレイビク被告を人道に対する罪で起訴する方向であると報じられている)。そして被告に反社会的な要素があれば、刑の延長が認められる。ブレイビク被告の判決が下された後、Verdens Gang誌が実施したアンケートによると、ブレイビク被告は「一生自由の身とならないだろう」と確信しているノルウェー人が約62%もいたことがわかった。











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category: 死刑制度について考える

2015/04/20 Mon. 00:01 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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