「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (483) 「法務委員会で審議される「刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」(3)堀江貴文氏登場!」 7/23/2015 

#検察なう (483) 「法務委員会で審議される「刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」(3)堀江貴文氏登場!」 7/23/2015

引き続き、この7月に参考人の意見陳述が行われた法務委員会の審議の模様をフォローします。

7月1日開会の法務委員会の模様はこちら。
ここをクリック→ #検察なう (480) 「法務委員会で審議される「刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」(1)」

7月8日開会の法務委員会の模様はこちら。
ここをクリック→ #検察なう (482) 「法務委員会で審議される「刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」(2)」

7月10日の法務委員会に参考人として呼ばれたのは、堀江貴文氏でした。

リンクはこちら。

ここをクリック→ 衆議院インターネット審議中継 ビデオライブラリ 法務委員会(7月10日開会)

7時間余りの動画のうち、初め1時間半が堀江氏の意見陳述と彼に対する質疑です。その1時間半のやりとりの全文書き起こしはこちらをご覧下さい。刑訴法改正法案を「安保法案より国民生活に一番関係してくる」と位置付け、その問題点を指摘する堀江氏の意見を是非、お読み頂ければと思います。

ここをクリック→ [全文] 堀江貴文氏が国会で語った刑事司法制度改革の問題点

私は、個人的に堀江氏とお会いし、1時間みっちり刑事司法の在り方について意見を交わしたことがあります。その時に一番印象に残っていることは、彼が「捜査権力の内部改革では多くのことは期待できない。抜本的な改革の手段は、議員立法しかない」と考えていたことでした。その点に関しては、私も全く同意するところです。

その議員立法のチャンスを前に彼が感じているであろうことは、私には痛いほど分かります。それは「やはり検察に追い込まれた当事者じゃなければ、本質的な問題点やその改革の必要性・火急性を骨身に沁みるとまでは感じていないんだろうな」ということです。しかし議員の中で、本人あるいはごく身近の者が検察(特に特捜部)のターゲットになったことがある人間は勿論ごくごく例外であり、あくまでない物ねだりということは理解しているつもりです。そしてそれでも、彼のような当事者が意見を述べる機会を得たということは、非常に重要であったと感じます。

堀江氏の意見陳述、質疑の中で何点か重要だと思われる点を抜き出します。

「弁護士を横に同席させて取り調べをして何が悪いんだと。こういったことは、今回の司法制度改革には全く盛り込まれておりませんけれども、弁護士同席を認めるべきだなと思っております。」

法律のプロである検察官に対し、密室で取調べを受ける被疑者・被告人は、プロボクシングのリングに上がったアマチュアボクサー(あるいはボクシング未経験者と言ってもいいかもしれません)のようなものです。その状況が可視化されないのであれば、プロのセコンドをつけるべきです。

「僕は全事件に対して、裁判員裁判を選べるような仕組みが必要なのではないかなという風に思ってます。」

アメリカでは、陪審員による裁判と職業裁判官による裁判とを選ぶ権利が被告人にはあります。有罪率が99.9%を越える日本の刑事司法において、裁判官の当たり外れのリスクを被告人が取るべきではなく、それを自らの選択で回避する手段が用意されているということは、国民の「正しい裁判を受ける権利」を担保する手段の一つだと思います。

「保釈については、刑事訴訟法第89条の第4項の修正をちゃんとやればいいと思います。」

保釈の請求があったときは、刑訴法では原則、保釈を許さなければならないのですが、例外規定があり、現実は、原則と例外が完全にひっくり返っています。特に、刑訴法第89条第4項は、「被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」を例外規定としています。実際の運用では、被告人が否認(あるいは黙秘)をしていれば、「罪証隠滅の惧れあり」とされています。つまり「罪証隠滅の惧れあり」の一言が、保釈を許さない免罪符になっているのが現状です。

「一方通行型の司法取引制度なんですよ。これは本来の司法取引では、多分ないと思うんですね。フェアではない司法取引制度であります。これは圧倒的に主犯格が不利になります。」

司法取引に関しては、ある程度の評価を堀江氏はしています。しかし、そこには問題点もあり、特に検察の有罪立証のためにのみ司法取引を許すのはフェアではなく、弁護側が無罪立証のために司法取引を活用できるようにするべきだという指摘は興味深いものです。「本来の司法取引」とは、アメリカで一般的な「自己負罪型」の司法取引を指していると思われます。司法取引の本場アメリカでは、司法コスト軽減として司法取引が多用されていますが、それは自分の罪を認めれば、罪を軽減するというもので、そこでは自分の利益のみで話が完結しているため、一定の抑止が働きます。他人の罪を重くして、自分の罪が軽くなるという、日本の「捜査協力型司法取引」は冤罪の温床となるという指摘は当を得ていると思います。

「(被疑者・未決被告人の身体拘束・勾留に関し)一応推定無罪の状況ですので、被疑者・被告人に対して、そこまで精神的苦痛を与えてまで、社会から隔絶して、さらに1人でずっといさせる必要というのは恐らく・・・恐らくじゃない、絶対ないわけです。」

人質司法に関して、堀江氏は自分の経験から重要な警鐘を鳴らしています。特に、長期間、弁護士以外の誰とも接触を許さない接見禁止付きの勾留は、無罪であるかもしれない被疑者・被告人に対する重大な人権侵害であり、そこから逃れたいがための虚偽自白を引き起こす可能性が非常に高いことを意味します。堀江氏だからこそ、それに耐え、自分の無実の主張をすることができたのだと思います。

「検察官の独自捜査権限を減らすべきだと私は思います。」

警察・国税局送致の事案をOEM供給とすれば、検察独自捜査事案こそが自社生産の検察の看板商品です。そこでは、無理にでも起訴しようとするインセンティブが働くことは想像に難くありません。少なくとも、捜査権と起訴権は分離すべき(特捜部から公判部に起訴権を移すべき)だと私は考えています。

また、補足というか蛇足というかですが、今回の刑訴法改正法案とは直接関係がないライブドア事件に関して、堀江氏の言葉で語られている部分は、個人的に非常に興味を持ちました。若狭勝氏(自由民主党、元東京地検特捜部副部長)との質疑の中で、「私の事件でいうと」で語りだす部分です。堀江氏は、証拠開示の例として挙げたものですが、宮内亮治氏の横領が起訴を免れたことは、「なぜライブドア事件で堀江氏が実刑判決を受け、そのほかのはるかに巨額の粉飾決算事件、例えばオリンパスや東芝で逮捕者、実刑判決を受ける者がいないか」という疑問に対するヒントだと思います。横領をしたのは堀江氏だというのが検察の「筋」であり、それが見込み違いだったとしても、振り上げた拳を収めることができなかったということがライブドア事件の真相だと私は考えています。それゆえ、彼も検察特捜部の独善的な論理のもとにターゲットとされ(注1)、捜査協力型司法取引による私の定義では立派な冤罪被害者の一人です(注2)。

(注1)
ここをクリック→ #検察なう (94) 「検察が逮捕したい人」

(注2)
ここをクリック→ #検察なう (351)「冤罪の定義」

7/23/2015




















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category: 刑事司法改革への道

2015/07/23 Thu. 09:05 [edit]   TB: 0 | CM: 1

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この記事に対するコメント

司法改革というと、可視化と証拠の全面開示化の議論は多いですが、取り調べ時における弁護士の同席については議論が活発でなかった事が気がかりでしたが、堀江氏はさすが経験者だけあって的確に見ているなと、関心しました。

弁護士が取り調べに同席するだけで、相当な数の冤罪は未然に防げた筈です。Law&Order等でお馴染みですが、アメリカでは逮捕時に「弁護士としか話をしない」と一言言うだけで、捜査機関は被疑者を強引に取り調べする事ができなくなります。被疑者の人権保護という観点から考えれば導入は不可欠だと考えています。

想像力が豊かすぎるのかもしれませんが、今の検察・警察の権力の強さを見るに、もし近い将来検察・警察トップと某万年与党勢力が裏で結託すれば、より強力な独裁体制を実現する事も可能では無いか、と危惧しております。だんだん日本が危ない方向に行きつつ有る危機感が頭から離れません。

Tri #6Aros7K. | URL | 2015/07/25 Sat. 00:55 * edit *

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