「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (486) 「恵庭OL殺人事件再検証(1)~再審請求で原告側即時抗告を棄却」 8/3/2015 

#検察なう (486) 「恵庭OL殺人事件再検証(1)~再審請求で原告側即時抗告を棄却」 8/3/2015

さる7月17日、札幌高裁は恵庭OL殺人事件の再審請求で、原告側の即時抗告を棄却しました。
ここをクリック→ 「原告側の即時抗告を棄却 恵庭OL殺人事件再審請求」(苫小牧民報)

2010年10月の上告棄却により大越美奈子さんの懲役16年が確定。その後弁護団は2012年10月に札幌地裁に再審請求を行いましたが、2014年4月に棄却され、札幌高裁に即時抗告していたものです。

事件については以前のブログで詳細を解説させて頂きました。
ここをクリック→ 冤罪ファイル その13 「恵庭OL殺人事件」

そのブログを読んでくれていた弁護団の伊東秀子弁護士から、即時抗告棄却後にその連絡を頂きました。弁護団は、既に最高裁への特別抗告への動きを始めています。

次回以降のブログで2回に分け、再審請求における特に重要と思われる「新証拠」(燃焼実験とアリバイ立証)を再検証したいと思います。

それに先立ち、この事件における弁護団の再審請求の魂ともいうべき特別抗告申立書の「結語」を引用します。

特別抗告申立書「結語」

1. はじめに
時あたかも、本年は、再審制度に新しい生命を吹き込んだ白鳥決定から40年目に当たる。白鳥決定、そして、それに続く財田川決定が、「疑わしいときは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則が、再審手続においても適用される旨明言し、従前の「疑わしいときは確定判決の利益に」という再審制度の運用に対し、重大かつ根本的な反省を迫ったことは余りにも有名である。そして、1980年代には、これも有名な死刑4事件について再審無罪判決が言い渡され、4人の死刑囚が死刑台から生還した。

2. 再審運用の現状
ところが、その後、再審制度の運用は再び「冬の時代」を迎えてしまった。下級審の実務では、再審開始に必要な新証拠をそれ自体で「完全無実を証明するような決定的証拠」に限定し、そこまでの証明力がない新証拠では、いかに旧証拠の証拠構造が脆弱であっても再審を開始しないという運用が定着しかけている。比較的最近再審が開始された事案として有名な足利事件、東電OL事件、氷見事件などは、新たなDNA鑑定や真犯人の発見などを理由とするものである。これらの事件は、白鳥・財田川決定が示した理論を用いなくても(つまり、同決定の出される前の実務を前提としても)再審が開始される筈のものであった。比較的最近の事例のうち、その種の決定的証拠がないまま再審開始決定が確定したのは、布川事件だけである。

昨年から本年にかけてされた一連の決定(大崎第2次、飯塚、北稜クリニック、名張第8次、姫路郵便局、高知白バイ、特急あずさ号など)は、本件を含めすべて棄却決定である。ごくたまにされる開始決定に対しては、ほぼ例外なく検察官の上訴(異議申立てを含む)が申し立てられて容易に決着がつかず、上級審で取り消される事例が相次いでいる(開始決定が取り消された最近の事例として、名張第7次と福井女子中学生殺し事件があり、上訴審で未だに決着のついていない有名事件としては、袴田事件と東住吉事件がある)。 

このように、判で押したように再審が棄却される近時の現実にかんがみ、弁護士の間では、「再審請求は棄却するようにという指示が、最高裁から出されているのではないか」という憶測が、公然と語られ始めた。

3. 本件再審の本質
当弁護団一同は、これまで「まさかそのようなことはあるまい」と考えていた。しかし、本件のような証拠構造の脆弱な事件で、有力な新証拠が提出されたにもかかわらず、即時抗告審裁判所が、やみくもに棄却に向けて突き進むのを見て、この噂はひょっとすると真実ではないかと考え始めている。原決定を読むと、裁判所は弁護人提出の書面や証拠を真面目に読んでいないことが容易に推測できるのである。

本文中でも繰り返したとおり、本件は「科学裁判」である。燃焼科学に関する正確な知識なしに、裁判官が独自の判断をした場合、とんでもない見当違いの決定になる。その結果、裁判所は、科学者から嘲笑される結果となりかねない。否、現時点においても、原決定を読んだ燃焼科学の専門家は、裁判所を軽蔑しているに違いないのである。もし最高裁判所までも、この非科学的な原決定をそのまま維持するようであれば、科学者からの軽蔑は決定的なものになるであろう。

我々弁護団は、法曹の一員として、そのような事態にだけはなってほしくない。

4. 結論
どうか、最高裁判所におかれては、本書面で指摘した諸点を中心に、まず記録を熟読していただきたい。「わが国最高の知性の集団」といわれる最高裁(最高裁判事と最高裁調査官)が少しでも本気に記録をお読みになれば、原決定の誤り・違法性を容易に理解されるはずである。

以上、前記本書面第4ないし第8において記述した原決定の判示の誤りは、憲法違反及び判例違反が免れない。そればかりでなく、決定に影響を及ぼすべき法令違反及び重大な事実の誤認もあり、原決定を破棄しなければ著しく正義に反するから、刑事訴訟法第411条を準用して、原決定を破棄すべきである。

最後になるが、なにとぞ、慎重の上にも慎重なご審議を賜りたい。
(引用以上)

この特別抗告申立書では、非常に重要な2点が述べられていると感じました。その2点とは、

1) 恵庭OL殺人事件は「科学裁判」であり、客観的な科学的事実により真実は明らかになっていますが、再審請求を棄却した裁判官は、その真実を呪術的とも言える非科学的こじつけでねじ曲げ、真実を求めることを放棄しています。

2) 冤罪被害者大越美奈子さんの有罪立証は、悪質な検察によるアリバイ証拠隠しにより達成されましたが、なぜ彼らがそれら証拠を隠蔽し続けたかという理由は、それを公判に提出すればアリバイが成立することを彼ら自身が理解していたからであるということを物語っています。

次回以降のブログで、この2点を踏まえ、恵庭OL殺人事件を再検証したいと思います。

8/3/2015
















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category: 恵庭OL殺人事件

2015/08/03 Mon. 00:01 [edit]   TB: 0 | CM: 1

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この記事に対するコメント

裁判所への不信が滲みでている申立書ですね。

穿った見方をすれば、最高裁は事実上行政トップ(内閣)の影響下におかれている、よって自分たちが出す判決が国益と治安維持の観点から好ましく無いのであれば、純粋に裁判官として見て再審の価値を見出しても、自由心証主義が許される事を利用して内閣からみた「模範的裁判官」を優先させる傾向が強い。そんな感じでしょうか。

余りに多い再審却下を見るに、裁判官としての良心と独立性に疑問が生じるのは当然だと思います。

Tri #6Aros7K. | URL | 2015/08/04 Tue. 11:04 * edit *

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