「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (490) 「恵庭OL殺人事件再検証 (5) ~プロファイリングにより真犯人像に迫る」 8/17/2015  

#検察なう (490) 「恵庭OL殺人事件再検証 (5) ~プロファイリングにより真犯人像に迫る」 8/17/2015

恵庭OL殺人事件には重要な証拠が数々あります。それらの証拠を元に事件を俯瞰し、再検証の最後として、プロファイリングにより真犯人像に迫ることを試みたいと思います。

まず、この事件は突発的に起こったものでしょうか、それとも計画的に行われたものでしょうか。

殺害から遺体焼損まで短時間(約1時間半)になされ、燃焼に使われた燃料がガソリンまたはジェット燃料であるということから、計画的に行われたと考えることが合理的だと思われます。

ガソリンをガス欠対応のために予備タンクに保管している人はいるでしょうが(違法行為ですが)、その場合でも、その量は次のガソリンスタンドに辿り着くに十分な少量だと考えられ、やはり遺体を焼損するための分量となれば、それを事前に準備していたと考えられます。

燃料は、アイスバーンの地面にこぼれ落ちたものが引火したことから、引火温度が40度以上という灯油ではなく、マイナス40度程度のガソリンか、マイナス20度程度のジェット燃料(ワイドカット系)と考えられますが、可能性としては、やはり入手が容易なガソリンの可能性が高いと思われます。しかし、ジェット燃料の可能性があるということは非常に重要です。「ジェット燃料の入手が可能な人物」が犯人像として浮かんでくるからです。

犯行が計画的であったとすれば、犯人は男性であると断じてもいいと思います。それは殺害方法が絞殺だからです。殺害を意図し(遺体焼却の準備までしているわけですから、最初から殺意をもっていたと考えていいと思います)、それを確実に遂行するために、絞殺を選ぶという場合は、体力が相手より十分に優っているということが条件です。

つまり、「体重47kgでどんぶりも持てないほどの握力しかない女性が、自分より体力的に勝る体重60kgの女性を殺害する方法として、絞殺を選ぶことは考えられない」ということです。もし犯人が被害者より体力的に劣る女性であれば、当然、体力をカバーする凶器(毒薬や刃物)を用意して凶行に及ぶということがより合理的です。

弁護団の推理は、被害者が強姦された可能性があり、だから犯人は男性(つまり大越美奈子さんは犯人ではない)という主張をしていますが、私にはすっきりしないところがあります

それは性犯罪と計画的犯行による殺害が結び付きにくいからです。性犯罪の被害者が殺害されるのは、「騒いだため突発的に」という可能性が高いのではないでしょうか。勿論、最初から殺害することを前提で強姦のターゲットを選ぶということもありえますが、犯人は正業に就いている者であると考えられ、やはり殺害が主たる目的だと考えるべきだと思います(遺体焼損においては陰部の炭化が著しいということから、性犯罪の要素は排除するものではなく、ただそれが主目的ではないということです)。

犯人が通りすがりの異常者ではないことは、被害者の携帯が、犯行後会社の社員控室の被害者制服ポケットに返されていたことから伺われるものです。そうした被害者の携帯電話の状況により、警察は、犯人を会社内の人間であり、しかも女性であると見定めました。しかし、関係者の供述から、社員控室は男性も出入りでき、取引業者であれば、その場所は知っていたということが分かっています。見知らぬ者の犯行ではないという見立てはよかったのですが、対象を絞り過ぎたということです。つまり犯人は、取引業者も含めた会社関係者だと考えられます。

犯人は、なぜ被害者の携帯を被害者の元に返したのでしょうか。犯行時間以降に、発信履歴があることから、被害者が生存していた時間を工作し、自分のアリバイの助けにしようとしたとしか私には考えられませんが、それでもこの事件のミステリーの一つです。

犯人は捜査が進んでいき、容疑の対象が大越さんに絞られていく中で、彼女に罪を着せるべくいくつかの偽装工作(被害者の遺留品を大越さん自宅近くで焼却しその痕跡を残す、被害者のロッカーキーを大越さんの車のグローブボックスに入れる)をしますが、この携帯電話を返した犯行当日深夜ないし早朝の段階では、大越さんに罪を着せるつもりだったかは疑問です。

私には、いたずら電話を200回以上掛けた着信側の携帯電話を、いたずら電話を掛けた本人が犯人であればわざわざ返却するとは到底考えられません。どうせ通信記録を調べれば、いたずら電話の件は発覚するはずですから、もし初めから大越さんに罪を着せるつもりなら、携帯電話を隠した方がむしろ犯人らしい行動だと言えます。

大越さんは、当初の警察の取り調べでは、被害者の電話番号を知らなかったと嘘をついていましたが、どうして携帯電話を返した犯人がそのような嘘をつくことがありえるのでしょうか。この携帯電話が返されていたことは、私には大越さんの無実の証拠としか考えられませんが、一般常識にはかからない常軌を逸した主張・判断がなされるのが刑事司法の現実です。

犯人は被害者の顔見知りであり、被害者の近況(事件5日前に新しい交際を承諾)を好ましく思っていなかったことが動機となったという警察の見立ては正しいと思います。しかし、事件の3日後頃には既に大越さんに捜査の対象を絞ったということが間違いだったと思われます。警察は、被害者の会社関連の男性知人との関係、特にストーカー被害にあっていなかったかどうかといった捜査をすべきだったと思います。

遺体焼損に際しては、顔に(目隠し様に)布が掛けられ、顔部の焼損状況も頸部・陰部に比較するとさほどでもなかったということは、焼損が単なる証拠隠滅のためだけではなく「弔い」の要素を含む複雑なものを感じさせます。その事実も私が、犯人は女性ではなく、被害者女性に(一方的な)思慕を寄せる男性だと考える根拠の一つです。

被害者女性及びその家族にとっては、言葉では尽くせない不幸な事件ですが、真犯人が野放しとなっている冤罪は、冤罪被害者の大越さんだけではなく、被害者、被害者家族も冤罪の被害者であるという二重の不幸を生みます。誰かを犯人に仕立て上げて有罪にすれば一件落着という感覚では、冤罪を繰り返すだけだと考えます。

しかし、その背景には犯人を見つけなければならないという捜査機関のプレッシャーがあると考えられます。犯人が見つけられない場合、捜査機関への批判は相当なものがあると思われますが、それが冤罪の遠因となっていることは非常に難しい問題です。

8/17/2015













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category: 恵庭OL殺人事件

2015/08/17 Mon. 00:01 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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