「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (495) 「映画『HERO』を観て感じる違和感」 9/3/2015 

#検察なう (495) 「映画『HERO』を観て感じる違和感」 9/3/2015

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ドラマシリーズ『HERO』は正直言って好きです。「~ないの?」と聞かれて、シブく「あるよ」と答えてウケないとがっかりします。

家にテレビがないので、普段はテレビを全く見ない生活がもう何十年にもなり、勿論テレビドラマを見る機会もあまりないのですが、自分が冤罪に巻き込まれてからは、読むもの全て刑事司法物、見るものも好んで刑事司法物を選ぶようになりました。『HERO』も私が事件に巻き込まれる前の第1期(2001年)は、その存在すら知らなかったのですが、第2期(2014年)は友人に録画してもらいフォローしていました。

今年映画化された作品は、残念ながら映画としての出来栄えは今イチでしたが、日本に一時帰国してまっ先に観たものです。

ここをクリック→ 『HERO』 (2015) 鈴木雅之監督

実際には99.9%デスクワークの検察官が、常に現場検証をする時点で『HERO』の設定は現実離れしており、これは「そういう検察官がいたらいいなあ」という夢物語です。そのことを理解しながらも、やはり実際に検察官と切羽詰まったやり取りをし、彼らの行動原理をとことん考え抜いた者として、やはり違和感を感じる部分があります。

その最たるものが、久利生検事の口ぐせである「俺は真実が知りたいだけなんです」というものです。

それは「検察の理念」(注1)でも前文で、「真実を希求し(知力を尽くして真相解明に当たらなければならない)」と謳われていますが、「検察の理念」は実態がそうでないからこその訓示であり、検察官の実態とはかけ離れていると理解しています。

一部の検事あるいは裁判官は「自分は真実を知り得る」という傲慢かつ尊大な思想を持っていると想像しますが、同時に私が想像するのは、大部分の検事あるいは裁判官は、「真実を知り得ることは到底叶わない」という不可知論に立っているというものです。

真実に辿り着くことは、所詮は神以外にはできず(「自分は真実を知り得る」と信ずる者は、自分を神に擬する所作です)、証拠により何が「真実らしいか」という検証作業を淡々と遂行しているという感覚だと想像します。

勿論、結論ありきで証拠をその筋立てに当てはめる行為や、証拠の合理的な評価を放棄する行為は法曹の道に携わる者として下の下の存在ですが、それは例外だと思います(但し、そうした者がいるのも悲しいかな現実です)。

一人一人の検察官の心持ちとしては、少しでも真実に近づきたいという希望はありながら、それは所詮実現不可能であり、しかも組織の論理はむしろそれを否定する方向にあると思います。それは三浦友和演ずる特捜部副部長が、有罪立証に消極的な証拠を「そんなもの集めても何の役にも立たない」と切り捨てたドラマ『トクソウ』(注2)の方がより検察の実態に近いと思われます。

それは彼ら捜査当局、そして判決を下す裁判官の判断基準はあくまで証拠に基づくものであり、必ず犯人を見つけなければならないプレッシャーの下にある捜査当局や、シロクロをはっきり判じなければならない(「シロかクロか分かりません」という解答が許されない)裁判官にとっては、恣意的な判断による「真実」よりも証拠による「真実らしさ」の方が絶対であるということです。非常に微妙なところなので、私の考えるところがこの文章でうまく伝わるかは分かりませんが。

引き続きこの問題は考えていきたいと思っています。

(注1) 
ここをクリック→ 「検察の理念」

ここをクリック→ 経過報告 (51) 「『検察の理念』発表」

ここをクリック→ #検察なう (248) 「新・検察の理念」

(注2)
ここをクリック→ ドラマ『トクソウ』

9/3/2015
















ここをクリック→ Amazon 『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』 カスタマーレビュー

表紙1


ここをクリック→ Wikipedia クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

ここをクリック→ 八田隆ツイッタ―

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category: 刑事事件一般

2015/09/03 Thu. 00:03 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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