「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (496) 「もう一人の『勝率ゼロへの挑戦』」 9/7/2015  

#検察なう (496) 「もう一人の『勝率ゼロへの挑戦』」 9/7/2015

冤罪被害者の心情というのは、非常に特殊なものであり、人にはなかなか説明しきれないものがあります。敢えて一言で言えば、それは怒り・悔しさと恐怖・不安がないまぜになったものです。

自分を底なし沼に引きずり込もうとする何か得体のしれないものが、国家権力という一個人では到底太刀打ちができないものであると知れば知るほど、それは絶望となります。

濡れ衣を着せられる理不尽さが怒り・悔しさの要因ですが、それを除けば、恐怖・不安そして絶望というものは、冤罪被害者でなくても、例えば不治の病と闘う人でも経験するものだと思います。

先週初め、私の刑事裁判の主任弁護人であり、国賠審の代理人チームのメンバーでもある小松弁護士から電話がありました。国賠審の経過報告と今後の方針を簡単にブリーフィングした後、小松弁護士は切り出しました。

「八田さんにお願いがあるんです。実は、、、、親父が余命3ヵ月の宣告を受けまして。親父は八田さんのブログの大ファンだったものですから、手紙を書いてもらえないでしょうか。大喜びすると思うんです」

私は言葉を失いました。私にも「棺桶に片足突っ込んだ」といつもネタにしている両親がいます。親を思う子の気持ちは皆同じです。

「先生、手紙は勿論書きますが、それだけじゃなくてお見舞いに行かせて下さい」
「遠いですよ。西宮ですから」
「先生に受けた恩義からすれば、地球の裏側でも飛んでいきますよ」

数日後、私は小松弁護士の父である小松義明氏の入院する病院を訪ねました。病院の玄関先で私を迎えてくれた小松氏は、私の顔を見るなり晴れやかに破顔し、とてもうれしそうでした。病魔に襲われ憔悴した様子を想像していた私は、その元気な姿にほっとしたものです。

それから小一時間病棟の休憩室で、事件のことや小松弁護士の子供の頃の話など、小松氏といろいろなことを語り合いました。話し始めてすぐに私が感じたのは、性格的に私と似た部分でした。

「私は、権力におもねらずその理不尽さと闘う人を、自分の息子が助けたということが誇りなんです」

彼の、弱きを助け強きを挫く正義感には強く共感を覚え、それを貫き通そうとするあまり、ともすると不器用な生き方をしてしまうところもよく理解できました。そういう父を見て育った小松弁護士が、彼からのいい影響を受けながらも同時に彼を反面教師として成功したであろうことを想像しました。

私が最初に小松弁護士と電話で話した時に、「いい補完関係ができる」と直観したのも、納得がいったと感じました。小松弁護士の方でも、父と近い長所、弱点を持った人間のサポートはしやすかったに違いありません。

守秘義務があるからとあまり事件のことを話さない息子の活躍を、私のブログでずっとリアルタイムで追っかけてくれ、私は知らなかったのですが、一度私の刑事裁判を傍聴にもきてくれたそうです。そして、「是非サインお願いします」と私の本を3冊も持ってきてくれました。近々、セカンドオピニオンでより積極的な治療方針を提示した千葉の病院に転院されるそうです。

「私は、余命3ヵ月と聞いて、覚悟はできたんですわ。でも、八田さんから手紙をもろうて、そして今日、こうしてわざわざ来てもろうて、なんか生きる勇気をもらったような気がしてるんです。八田さんも勝率ゼロに挑戦したんやから、自分もやってみようかなって。自分もその勝率ゼロに挑戦ちゅうやつを」

私にできることは限られていると思いますが、勝率ゼロに挑戦する小松義明氏を心の中で応援したいと思います。

小松義明

9/7/2015
















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category: 刑事事件一般

2015/09/07 Mon. 00:01 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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