「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (80) 「正しく納税する意識がありますか」 1/4/2012 

#検察なう (80) 「正しく納税する意識がありますか」 1/4/2012

あけましておめでとうございます。暦の上では、国税局・検察との闘争も4年目に突入です。今年が正念場だと思っていますので気合いを入れていこうと望む所存です(と、毎年言ってるなあ)。

先日、アメリカ人の会社元同僚からメッセージをもらいました。彼は現在アメリカの小さな証券会社(私が内定をもらっていた会社よりは大きいところです)に働いていて、この3年間も時々一緒に仕事をしたいと誘ってくれています。

彼からのメッセージは、”You have done nothing wrong. What ever will happen will happen but you have no reason to not hold your head up high.”でした。

私の告発の記事は共同通信社によって英訳され、全世界に報道されているため、告発までは知っている人間も海外の元同僚に少なからずいますが、私はその後、英語での情報発信をほとんどしていないため、現在の状況を知る人間は彼を含め数人です。勇気づけられます。

「正しく納税する意識がありますか」

私は国税局でも検察でもこの同じ質問をされています。所得税法違反の嫌疑を問われている状況ですから、「勿論!」と答えるべきだったのでしょうが、根がバカ正直な私はこう問われて若干の違和感を否めませんでした。これを読んでいらっしゃるサラリーマンの方に同じ質問をしたいと思います(自営業の方は分からない感覚だと思います)。そう問われて、「給与に対する所得税は有無を言わさず天引きされるのに正しく納税するとかしないとかあるのかな」と思いませんでしたか?

私は彼らの問いに以下のように答えました。「もし郵便料金で言えば、90円のところ、自分で計量して90円の切手をきっちり貼ろうとしたかといえば、答えは否です。自分の意識とすれば、120円貼っておけばオッケーだろうと思っていました。そして自分では120円だと思っていたけれど、150円ということもあるので、それを避けるため信頼できる他人に任せていました。」

サラリーマンにとって「税務に関心がある」というのは「節税の意識が高い」ということなのではないでしょうか。そして私は殊更節税しようという気はありませんでした。そうしたことに煩わされること自体、時間の無駄だと思っていたからです。

国税局の取り調べでも、「八田さんは、不動産収入があったようですが(家賃月12万円)、なぜ共益費・管理費(月21800円)を経費にしていなかったのですか」と聞かれました。私は、そう問われて初めてそうした節税ができることをその場で知り、「そうした知識もなかったし、関心もありませんでした」と答えました。

脱税というのは税金を払いたくないという意識が昂じて犯罪行為に至るということですから、その一線を越えるまでに、まず合法的な節税はぎりぎり行っているというのが普通なのではないでしょうか。

国税局査察官の問いは、私が明らかに脱税犯のプロファイリングと合致しないということを言っています。そして、当然それは調書化されていません。捜査当局の調書というのは、被疑者にとって不利なことしか書かれないようになっています。裁判が調書を最重要視している現在の司法制度では、これは被告に圧倒的不利なシステムです。

また、私は競走馬の1/40の共同馬主です。彼はデビュー戦から2連勝し、その年は餌代を差し引いても賞金で60万円程度の利益を馬主の私に提供してくれました。私は、この利益を税務申告していました。国税局査察官には、「八田さんは、共同馬主のようですが、なぜ賞金を税務申告しているのですか」と聞かれました。これまた奇怪な質問です。「収入があれば、それを税務申告するのは当然なのではないのですか」と答えましたが、これも当然調書には書かれていません。

クレディ・スイスの社員300人に一斉に税務調査が開始した際、私は自分の申告漏れに全く気付いていませんでしたが、税理士経由で海外給与の申告漏れを知らされ、ほかにも申告漏れがないかを丹念にチェックしました。探せば見つかるもので、3年の税務調査対象期間ほかに3件の申告漏れを見つけました。そしてそれにはパターンがありました。

私の確定申告は、「確定申告に必要とされる書類一切合切を税理士に渡す」というものでした。

私にとって「確定申告に必要とされる書類」とは、「それなりの時期に配布される、それなりの体裁を伴った書類」というものです。皆さんもイメージできると思います。確定申告の時期が近くなってくると「これは税務申告に必要な書類です」と書かれた書類なり証明書が会社からもらったり、保険会社等から送付されてきたりということがあると思います。

私は、その書類を必要あるなしを考えることなく、全て税理士に渡していました。先程の競走馬の賞金に関しては、社台ファームから年末に確定申告用書類が送られてきたため、それを税理士に渡す書類に入れていたということです。そして私の自分で見つけた3件の申告漏れは、全てそうした書類が交付されない性格のもの(例えば一般口座で保有していた株式投信の売却益)だったということです。

それでは私が脱税したと言われている会社の株式はどうでしょう。会社がその海外給与の所得税を給与天引きしていなかったとしても、年末、確定申告用にそうした書類を作成してくれていたら、私は何も考えずに税理士に渡して、申告漏れになっていなかったであろうと断言できます。

実際にはそうした書類はありません。国税局の取り調べで、「株式を確定申告するのに添付する書類がなかったので気付かなかった」と言った際には、「いや、ある。株式の受け渡し通知のMemorandumだ」と言われました。そのMemorandumの配布時期は株式の支払い時の5月ないし6月。全文英文で、どこにも確定申告用書類の雰囲気は漂っていません。私には、その書面を税理士に渡さなければいけないという発想は全く起こりませんでした。

全ては全く単純な話です。

国税局査察部、ましてや検察特捜部は無能ではありません。その彼らが真実に辿り着かないわけはありません。彼らの間違った「正義感」が、私の告発・起訴という状況に異形化したものです。

検察に至っては郵便不正事件というショックを与えられ、自らを正すチャンスを得ながら、検察改革が全く機能していないかのような結果であることは実に残念です。国税局は更に危機意識が欠如しているのだと思います。税金が国家を支えるんだという使命感はいいのですが、私の捜査にどれだけの税金が使われているかということを考えると、全く本末転倒です。空しい限りです。

P.S.
長野智子氏がツイッターで「ブログ拝読しました」というメッセージをくれました。捜査当局の徹底した報道管制が日本の国民をして事実から目をそらせているという状況に、本来メディアは社会の木鐸として機能しなければいけないのに、その使命を果たせてないのではと思うことも少なくありません。それでも彼女のようなジャーナリストがいることは希望を持てます。彼女の、冤罪を世に知らしめようとする努力は応援していこうと思っています。

ここをクリック→長野智子氏ツイッター

P.S
友人の一人が、「#検察なう」Tシャツを着て、ハーフマラソンに出走してくれることになりました。3月18日(日曜日)の「ベジタブルマラソンin夢の島」です。彼はこれまでも「何か助けになることはありませんか」と言ってくれていたのですが、自ら今回このようにしてくれることを申し出てくれました。当日は私も万難を排して応援に駆けつけようと思っています。もし会場に行ける方がいらっしゃいましたら、「#検察なう」Tシャツを着て走る彼を応援してあげて下さい。

そして新しい企画を立ち上げようと思います。名付けて「『#検察なう』Tシャツ・プロジェクト」。「#検察なう」Tシャツの画像募集します。着てでもいいし、飾ってでもいいし、なるべく状況が分かる、インパクトのある画像キボンヌです。それを経過報告、私のブログ、ツイッターで紹介します。楽しい画像待ってます。よろしくお願いします。

1/4/2012 

category: クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

2012/01/04 Wed. 06:21 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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