「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (498) 「刑事司法改革法案、賛成すべき?反対すべき?」 9/14/2015 

#検察なう (498) 「刑事司法改革法案、賛成すべき?反対すべき?」 9/14/2015

今国会での成立は先送り、秋の臨時国会で継続審議される刑事司法改革法案について、人に問われました。

「八田さんは賛成してるの?それとも反対しているの?」

私の答えは「分からない」でした。そして「いかなる結果になろうとも、注視し続けることが必要なんだけどね」と付け加えました。

昨日9月13日にも冤罪被害者を中心にした市民集会が開かれ、この法案の廃案が訴えられました。
ここをクリック→ 「9.13 ニセ可視化・司法取引・盗聴拡大を許さない市民集会」。

これに対し、ジャーナリストの江川紹子氏は、廃案に疑問を呈しています。
ここをクリック→ 『江川紹子の事件簿』「可視化実現の意義は大きい、参議院民主党の体たらく」

この刑事司法改革法案を支持するか、支持しないかという問題の複雑さは、単に、現時点の改革案のメリット・デメリットを天秤に掛けて、将来の冤罪抑止につながるのかどうかの評価の問題ではないからです。

この刑事司法改革法案に盛り込まれた司法取引の危険性については、これまで度々論じてきました。最近放送されたNHK『クローズアップ現代』でも特集され、かなり要点をまとめていたと思います(注1)。導入が見込まれる「捜査協力型」(その実態は「密告型」)司法取引により、自分の罪を軽くするために無実の他人を引っ張り込む新たな冤罪が増えることは必至だと思われます。

自分たちの筋立てで有罪立証ができれば、それで一件落着とする捜査権力ならまだしも、なぜ日弁連ですらこの新たな冤罪を生みかねない刑事司法改革法案を推し進めようとするのでしょうか(注2)。

支持する、支持しないの違いは、この刑事司法改革法案が「最初の一歩」であると考えるのか、それとも「最初で最後の一歩」であると考えるのか、という違いから生まれていると言ってもいいと思います。

「捜査協力型」司法取引導入+盗聴法対象事件拡大とのバーターで、実現にこぎつけた取調べの可視化は、全刑事事件のわずか2-3%に過ぎず、その運用には捜査官の恣意性に委ねられる重大な抜け道もあると指摘されています。

捜査権力側と被疑者・被告人・弁護人側の相反するメリット・デメリットをギブ・アンド・テイクで考えると、捜査権力側がテイクするものは100%であるのに対し、ギブアップしているのは数%というのが、この刑事司法改革法案のイメージです。

この刑事司法改革法案が「最初で最後の一歩」であるなら、到底許容できないと考えるのもむべなるかなと感じます。

最初の私が受けた質問に戻ります。

「八田さんは賛成してるの?それとも反対しているの?」

この質問は、私にとっては、「この刑事司法改革法案は「最初の一歩」なの?それとも「最初で最後の一歩」なの?」と同じ意味を持ちます。

そしてそれに対する答えが「分からない」というものです。

実際のところ、この刑事司法改革法案が「最初の一歩」であるのか、それとも「最初で最後の一歩」であるのかは、誰にも分からないと思います。そしてそれを「最初の一歩」にするのか、それとも「最初で最後の一歩」にするのかは、我々国民の今後の意識・活動によるところが大きいと考えています。いかなる結論になろうとも、現時点においては、それは好ましい完全な状態ではなく、捜査権力の運用を常に批判精神を持って注視し、よりよい状況を目指さなければならないということです。

まず法案成立に際しては、現時点の刑事司法改革法案は通過点であり、到達点ではないと明文化し、それを周知徹底することが重要であると考えます。

それでは到達点は、何を目標にすればいいのでしょうか。私個人は別の考えを持っていますが(注3)、そのお題目は、「全刑事事件の完全可視化」と、「証拠の全面開示」でいいと思います。

これら最終到達点にどのようにして辿り着くか、そしてもし一気に辿り着くのが不可能であれば、どうすればよいかを考え続ける必要があります。是非、一緒に考えてみて下さい。

(注1)
ここをクリック→ NHK『クローズアップ現代』「えん罪は防げるか 司法取引で変わる捜査」

(注2)
ここをクリック→ 日本弁護士連合会「取調べの可視化の義務付け等を含む「刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」の早期成立を求める会長声明」

(注3)
ここをクリック→ #検察なう (267) 「刑事司法改革のためにすべきこと」

9/14/2015















ここをクリック→ Amazon 『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』 カスタマーレビュー

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category: 刑事司法改革への道

2015/09/14 Mon. 00:01 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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