「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (503) 「『告発の正義』とクレディ・スイス証券集団申告漏れ事件~概論 第二章 「法律上の告発」の諸相」 10/1/2015  

#検察なう (503) 「『告発の正義』とクレディ・スイス証券集団申告漏れ事件~概論 第二章 「法律上の告発」の諸相」 10/1/2015

私の国賠審代理人チームのメンバーでもある郷原信郎の最新刊『告発の正義』が、9月初めに上梓されました。

告発の正義

「告発」とは、広い意味では「悪事を暴くこと」です。それはただ単に「悪事や不正を世間に知らせること」という場合もあるでしょうし、捜査機関に対して犯罪事実を申告して処罰を求めるという場合もあるでしょう。

そして本書では、前者を「社会的事象としての告発」、後者を「法律上の行為としての告発」としています。

本書第一章「社会的事象としての告発」をめぐる構図」では、企業内・組織内で発生した不正、不祥事が内部告発によって表面化した事例を取り上げ、その功罪を論じています。

第一章の結びです。

「組織の内部者である告発者は、通常、不正行為の一部を認識しているに過ぎない。問題を一面的、局所的にしか理解しないままに行われる「告発」が、マスメディアにとっては格好のネタになり、告発の対象となった問題がセンセーショナルに取り上げられることで、実態が歪曲されて伝えられることになる。

内部告発等の「社会的事象としての告発」は、潜在化している不正行為を表面化させ、それを正すことに関して極めて重要な行動である。しかし、それを受け止める側の姿勢や取り上げ方によっては、それが、かえって社会的弊害につながってしまうことにもなりかねないのである。」

第二章以降が、「法律上の行為としての告発」に関する議論ですが、そこでは、『告発の正義』というタイトルの後に、『と検察の正義』という文言が隠されています。そして、「検察の正義」の主体は勿論検察なのですが、「告発の正義」の主体にはいろいろなケースがあり、また『告発の正義「と」検察の正義』の「と」には、「and」というケースもあれば、「vs」というケースもあるというところが第二章以降のポイントです。

第二章では、刑事訴訟法上の告発や、それ以外の法律に規定された官公庁による告発が、どのような法律上の効果を生じ、どのように取り扱われ、どのような責任を生じさせるのかについて述べられています。そこでは「告発の正義」と「検察の正義」の方向性は基本的に一致しています。概論的な第二章を受けて、第四章では各論的に具体的なケースを詳説しています。

第三章では、「告発の正義」と「検察の正義」が対立しているケースとして、「対立の系譜」と題し、談合事件の告発をめざす公正取引委員会と告発を断念させようとする検察の確執を述べています。

そして第四章では、著者自ら告発者となり、弁護人による「告発の正義」が「検察の正義」に勝利したケースとして、美濃加茂市長事件を取り上げています。

第二章及び第四章に私の巻き込まれたクレディ・スイス証券集団申告漏れ事件が取り上げられていますが、まずその概論的な文章を第二章から引用します。

「国税の脱税事件は各国税局の査察部が担当している。脱税事件は、その内容・程度により、その多くは、税務署の段階で、納税義務者に修正申告をさせ、加算税・重加算税等のペナルティを科すことで処理されている。

しかし、査察部は国税犯則取締法により、臨検、捜索及び差押えといった強制調査権を行使できる犯則調査権が認められており、脱税額が大きく悪質性の高い脱税事件では、犯則調査を行って犯則の心証を得た(脱税と判断した)場合には、その事件を検察庁に告発することとされている。

国税査察官は、脱税の調査については所属する国税局長の指揮の下にあり、直接検察官の指揮は受けない。しかし、国税が脱税事件を検察官に告発するに当たっては、事前に、国税局査察部(調査査察部)と検察庁の担当検事との間で告発要否勘案協議会を行って検討・協議がなされて告発を行う慣行になっている。国税と検察は、脱税事件の処理を通じて、長年にわたり緊密な協力・連携と信頼関係を築いてきた。」

「極めて緊密な協力関係にあり、「告発の正義」と「検察の正義」の方向性が基本的に一致していた国税と検察との関係にも、様々な紆余曲折があった。そして、21世紀に入り、特捜検察の不振が続き、ライブドア事件、村上ファンド事件等の経済事件への展開でも大きな失敗を繰り返した特捜検察にとって、国税からの告発は、貴重な事件の供給源になっていると考えられる。

そのように、「検察の正義」が、国税の「告発の正義」に大きく依存する状況を端的に表しているのが、第四章で詳述する控訴審で無罪が確定した八田隆氏の所得税法違反事件である。」

次回(以降)のブログで、『告発の正義』に述べられた、クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件の各論的な論述を紹介します。

10/1/2015










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category: クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

2015/10/01 Thu. 00:04 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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