「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (512) 「埼玉愛犬家連続殺人事件(1)~風間博子死刑囚は殺人犯なのか」 11/2/2015 

#検察なう (512) 「埼玉愛犬家連続殺人事件(1)~風間博子死刑囚は殺人犯なのか」 11/2/2015

ずっと興味を持って追っている事件に、埼玉愛犬家連続殺人事件があります。これが単なる猟奇殺人であれば、さして私の興味を引くものではありませんが、この事件がもし冤罪であるならば、やはり冤罪で苦しむ人には理解を示し、何かできないかと考えます。

この事件が起こったのは1993年。当時、私は仕事に忙殺される毎日で、世の中の状況に全く疎かったため、事件が起こったことさえ知りませんでした。この事件を知るきっかけになったのは、2010年公開の園子温監督の映画『冷たい熱帯魚』を観たことです。

ここをクリック→ 園子温監督『冷たい熱帯魚』予告編

実際の事件では珍しい犬種を扱うペットショップが、映画では熱帯魚店に置き換わっているものの、ストーリーは実際の事件とシンクロしています。埼玉愛犬家連続殺人事件の概要は『冷たい熱帯魚』のファンサイトにうまくまとめられています。

ここをクリック→ 『冷たい熱帯魚』ファンサイト 「ベースとなった事件」

かいつまんで言えば、シベリアン・ハスキーを日本に輸入して大儲けをした業界の有名人である関根死刑囚が、当時日本に未輸入の犬種(ローデシアン・リッジバック)を実際には数十万円でありながら、「子供が産まれたら高く買い取りますよ」と持ちかけ、法外な(つがいで1千万円以上)値段で売りつけていたが、購入した客とトラブルになり、その客を殺害。その殺害に気付き強請ったヤクザとその運転手を殺害。その後、他の客も殺害したという4人の連続殺人事件です。

埼玉愛犬家連続殺人事件の共犯は3人、関根元死刑囚、風間博子死刑囚(関根死刑囚の元妻)、それと山崎永幸氏(ペットショップ役員)です。前2者の確定判決は死刑、山崎氏は懲役3年で満期出所しています。

主犯(共謀共同正犯)とされた2人のうち、風間博子死刑囚が殺人罪に問われるべきなのかをずっと調べていますが、全くすっきりしません。現時点においては、クロという確証は私には少なくともありませんが、まだシロというには疑問点がいくつかあるというのが正直なところです。

共犯3人の供述は、関根死刑囚は「実行犯は自分と山崎だが、それは風間博子の指示で行ったもの」、風間博子死刑囚は「殺人は関根と山崎が行ったものであり、殺人には自分は関与していない」、山崎氏は「殺人は関根と風間が共謀して行った」と食い違っています。

犯人とされれば死刑が想定され、彼らが保身のために嘘をつくことは当然予想されるものです。この3人のうち誰が嘘をついているか。あるいは全員が嘘をついている可能性もあります。

捜査当局は、山崎氏の証言を元にストーリーを組み立てていきます。私は逆に、山崎氏の証言が捜査当局のストーリーに沿ったものでもあったと考えています。

山崎氏は、服役出所後に、実名で事件のことを記述した本を執筆していますが、これはゴーストライターによるものであることが分かっています。

映画『冷たい熱帯魚』は、裁判の経過と山崎氏(のゴーストライター)執筆の本を下敷きに製作された、いわゆる山崎バージョン(それは捜査当局バージョン)の事件の様相だということが言えます。つまり、これが真実であると信じることは、相当慎重であるべきです。共犯者の証言、特に共謀共同正犯に関する証言は、特別な利害関係があるため「汚染」されていると考えるべきであり、その採用には慎重になる必要があることは以前にブログで述べたところです(注1)。

3人の共犯の相反する供述があった場合、どの供述に信用性を置くか。通常であれば、「客観的事実と最も合理性が高いもの」ということになると思います。しかし、この事件が非常に難解であるのは、4人もの殺害が行われながら、物証が極端に少ないことです。

それは、この事件で有名な「ボディを透明にする」ことから、証拠の隠滅が巧妙に図られたことによります。「ボディを透明にする」とは、関根死刑囚の殺人哲学で、遺体が見つからなければ殺人は立証されない、だから遺体を完全に解体し、肉は細切れにして川に流し、骨は灰になるまで焼却することを言います。この事件の猟奇性を物語るものです。

つまり、客観的な証拠(物証)で犯罪の様態を立証できないため、供述、しかも信用性の乏しい共犯者の供述によってのみ事件が立証されたという特殊な事情が、埼玉愛犬家連続殺人事件にはあります。

次回以降ブログで、山崎氏の供述が得られた状況を検証したいと思います。

(注1)
ここをクリック→ #検察なう (449) 「森炎氏著『教養としての冤罪論』解題 (7) ~冤罪ライン⑥ 「犯人の知人・友人が共犯者とされるとき」

参考文献
『冤罪File』第20号「冤罪疑惑が黙殺され続けた「埼玉愛犬家連続殺人事件」共犯者が被告人の無罪を証言!」 片岡健

『冤罪File』第21号「埼玉愛犬家連続殺人事件 女性死刑囚の子供たちが、知られざる事件の内幕を明かす!「それでも母はやっていない」」 片岡健

『女性死刑囚』 深笛義也

『悪魔を憐れむ歌』 蓮見圭一

ブログ『横板に雨垂れ』
ここをクリック→ ブログ『横板に雨垂れ』

『大きな愛に包まれて 無実を訴える死刑確定囚 風間博子の声』
ここをクリック→ 『大きな愛に包まれて 無実を訴える死刑確定囚 風間博子の声』

11/2/2015

















ここをクリック→ Amazon 『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』 カスタマーレビュー

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category: 埼玉愛犬家連続殺人事件

2015/11/02 Mon. 00:01 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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