「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (520) 「堀江貴文氏講演 ~ホリエモンがモノ申す~「これでいいのか刑事司法」」 12/7/2015 

#検察なう (520) 「堀江貴文氏講演 ~ホリエモンがモノ申す~「これでいいのか刑事司法」」 12/7/2015

先日、自由人権協会主催の堀江貴文氏の講演があり、参加しました。講演の紹介文は「刑務所内の人権から更生保護支援、そして刑事司法改革まで、“ホリエモン”が持論、提言を本音で語ります」というものでした。

ここをクリック→ ~ホリエモンがモノ申す~「これでいいのか刑事司法」チラシ

始まりの挨拶が弘中惇一郎弁護士、終わりの挨拶が喜田村洋一弁護士(注1)という日本を代表する超重量「無罪請負人」弁護士コンビという豪華な顔ぶれでした。

弘中惇一郎 12-2-15

弘中惇一郎弁護士

喜田村洋一 12-2-15

喜田村洋一弁護士

前半約2/3は、堀江氏自身が収監された実体験に基づく「監獄論」。それは実にプラクティカルで、説得力がありました。

彼の意見は、ある類型に当てはまる犯罪者を現状の運営の刑務所に送り込むことはむしろ犯罪を増やし、社会を不安定にしているというものです。

彼の意見が説得力をもって響くのは、それが犯罪者の人権擁護(もしかすると主催者の立ち位置はそうかもしれませんが)という立場から語られているわけではないからです。彼の視点は常に、当事者以外の我々一般社会の利益を優先しています。

なぜ犯罪者を罰するかということを考える場合、彼らを罰することにより、我々にメリットがなければ、意味がないというのが彼の主張の大前提です。悪いことをすれば罰せられて当然だとは誰しも考えるところですが、彼はその先を考えています。

それら犯罪者を収監することによりなぜ犯罪が増えるのでしょうか。まず前科者を差別することが問題になります。そして少なからずの犯罪者は親族からも離縁され、収監されることにより社会から隔絶され、社会と決定的に疎遠になります。現在、刑務所で行われている刑務作業=職業訓練は時代遅れで、社会に出て役に立つものではありません。全く職能もない人間が、疎遠になっている社会に突然放り出され、差別されれば、彼らが再犯に走らざるを得ないということは想像に難くありません。

堀江氏の提言は、収監せずに社会にいながら更生させる方法を模索する必要があり、また刑務作業=職業訓練はより実践的であるべきだというものです。具体的には、再犯率の高い薬物犯罪には、化学療法を施して薬物依存を解消したり、同じく再犯率の高い性犯罪には、GPS監視を義務付けたり、ホルモン治療といった可能性も考えられるのではないかとします。

また刑務作業=職業訓練に関しては、社会に出てすぐ役に立ち、お金になり、そして人と接する機会が少ないものが有力だとしています。例えば、スマホ向けのアプリ開発や、付加価値を付けた作物を栽培する小規模農業といったものです。

犯罪者をただ刑務所にぶち込んでそれで終わりとするのではなく、結局、彼らは(死刑囚を除き)いずれは社会に還元されるのですから、再犯率の低下を目標とすることが、社会的コストの軽減に役立つとするものです。まさに慧眼だと感じました。

なぜ犯罪者を罰するかを、何が我々のメリットかという観点から考えてみる必要があるのではないでしょうか。

堀江貴文 12-2-15

堀江氏の講演の後半約1/3は、刑事司法の問題点に関する議論でした。

彼が強調したことは2点。一つは権力を持ち過ぎる検察改革の必要性、もう一つは冤罪の温床でもあり、あまりに不当な人質司法の是正の必要性でした。

時間の制約もあり、この刑事司法の問題点に関しては、具体的な方策の細かな議論が限定的だったことは若干残念でした。彼ほどの見識があれば、このテーマにおいても一家言あることは言うまでもありません(注2)。

講演の中で彼が指摘したことは、前者に関しては、地検特捜部の独自捜査権の廃止、判検交流の廃止(注3)、後者に関しては、保釈の要件を定めた刑事訴訟法第89条第4項の廃止(注4)でした。

郵便不正事件以降の検察改革が完全に失敗(法務・検察官僚にとっては大成功)に終わったのは、官僚主導では既得権の制約につながるはずもなく、官僚以外の第三者に委ねなければ刑事司法改革(それは即ち検察改革と言ってもよい)は立ち行かないという考えは、堀江氏も私も共有するところです。刑事司法の問題は、我々の生活に直結する問題だけに、是非とも一緒に考えて頂ければと思います。

別れ際に、拙著の帯を書いてもらったお礼を言って帰ってきました。

ホリエモン 12-2-15

(注1)
ここをクリック→ #検察なう (313) 「レペタ裁判&刑事司法を喜田村洋一弁護士に聞く」

ここをクリック→ #検察なう (393) 「国家賠償訴訟に関して (2) ~代理人ドリーム・チーム結成!」

(注2)
ここをクリック→ #検察なう (483) 「法務委員会で審議される「刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」 (3) 堀江貴文氏登場!」

(注3)
刑事裁判部門の判検交流は2012年以降廃止されたとされていますが、民事裁判部門のそれは依然行われているようです。

(注4)
刑事訴訟法第89条
「保釈の請求があったときは次の場合を除いては、これを許さなければならない」
第4項の「被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」があまりに広範囲に適用されるため、原則と例外が逆転しているというのが堀江氏の主張です。

人質司法に関しては、裁判所(令状部)の運用が、より謙抑的であれば是正されうるものですが、法律を変えることにより決定的となります。

12/7/2015

















ここをクリック→ Amazon 『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』 カスタマーレビュー

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category: 刑事事件一般

2015/12/07 Mon. 00:01 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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