「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (535) 「特捜に正義はあるのか~国循官製談合事件、いわゆる「国循サザン事件」(1)」 4/23/2016  

#検察なう (535) 「特捜に正義はあるのか~国循官製談合事件、いわゆる「国循サザン事件」(1)」 4/23/2016

事件の舞台は、全国に6つある国立高度専門医療研究センターの一つ、国立循環器病センター(略称「国循(こくじゅん)」)です。国循は、名のとおり循環器を専門とする日本最先端の医療機関であり、同時に、循環器病を専門とする医学研究機関でもあります。こうした規模の機関であれば、その情報システムの受注は、業者にとって非常に大きな利権になることは想像に難くありません。

国循の資本金は、国が全額を出資し、毎年45億円もの税金が、運営費交付金として投入されています。その税金が効率よく利用されるために、業者の選定には価格競争が求められるはずですが、もしある企業が国循と癒着して、長年に亘ってその情報システムを独占的に受注していたとしていたらどうでしょうか。

実は、この事件では、それと全く正反対のことが行われたのに、それを検察が犯罪行為としてとがめてしまったというものです。

私が桑田成規(しげき)さんとお会いしたのは、2014年の7月のことです。彼から突然のメールを頂き、その後、メールのやり取りを経て、彼が大阪から上京してくることになりました。桑田さんは、結局、その年の11月に逮捕され、12月に起訴されるのですが、お会いしたのは、その年の2月から始まった大阪特捜の取り調べのさなかでした。その際、詳しくお話を聞くことができました。

彼が国循に医療情報部長として就職したのは、2011年のことです。国循で電子カルテシステムの構築・導入をするに当たり、彼の元いた鳥取大学医学部附属病院での功績を買われ、その後異動した大阪大学医学部附属病院からヘッドハンティングされたものです。国循では、彼が入る以前、十数年に亘って、NECが情報システムの機器導入と保守・運用管理を牛耳っていました。ところが、彼が国循に異動した後の入札で、ダンテック社が落札したことを検察は問題視したものです。

私は、「談合」という言葉のイメージはありましたが、桑田さんから話を聞くまで、「官製談合」という言葉は知りませんでした。談合は、公共事業などの競争入札の際、入札参加者が前もって相談し、入札価格や落札者を協定しておくことですが、官製談合とは、発注者である行政官が、入札に関わる情報を漏洩し、特定の業者を利する行為を指します。当然、その見返りとして金品や天下り先の提供といった、贈収賄や便宜供与が伴います。

桑田さんに掛けられた嫌疑は、国循の情報システム保守・運用業務の入札において、ダンテック社に、入札に関する情報を漏洩したとして、官製談合防止法(正式名称は、「入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律」(注))に抵触したとされたものです。

官製談合防止法での立件というのは、そもそも検察は収賄罪での立件を狙ったものですが、そうした事実は結局見つからなかったことを意味しています。検察は、これから始まる公判で、桑田さんに対してどのような見返りがあったと主張するのでしょうか。非常に重要な争点の一つです。

2014年2月の報道です。
ここをクリック→ 日経新聞「システム運用、官製談合か 国立循環器病研究センター」

2014年11月に彼は逮捕されましたが、否認していたにも関わらず、起訴後の保釈請求が認められ、起訴後の勾留はありませんでした。

逮捕後の報道です。
ここをクリック→ 産経新聞「「私利私欲のためにやったことはない」 元情報統括部長の桑田成規容疑者」

彼の保釈後に、私が大阪に行く機会があり、彼と再会しました。それ以前の彼とのやり取りで、彼が金品を受け取ったという事実は一切ないことは理解していました。彼の逮捕と同時に、ダンテック社の社長も逮捕されていましたが、再会した際、私は一番重要な点を確認しました。

「ダンテック社の社長は、入札に関わる情報を得たことを認めたのですか?」

いかに桑田さんが否認を貫いても、落札した相手側が情報漏洩を認めてしまえば、桑田さんの有罪は確実視せざるを得ないと思われたからです。しかし、特捜の厳しい取調べにも関わらず、その社長は、そうした事実はないと否認し続けたそうです。結局彼も、桑田さんと共に起訴され、これから真実を求めて戦うことになります。

桑田さんは、自らの業務を正しく遂行し、国循の医療システム導入のコストを下げる功績を挙げました。それは我々国民の税金がより効率的に使われることにつながります。それでありながら、彼は罪に問われて職を失い、これから冤罪と戦う立場にあります。

彼からもらったメールの中に「桑田の思い」として書かれていた文章を引用します。

「私は、これまでの悪習=N社にべったり=を裁ち切り、情報システムの構築・運用・保守は、高い技術力を持つ企業に適切な価格で実施していただきたい、という思いで国循のために仕事をしてきました。実際に、私の異動後、国循のシステム調達価格は大きく下がり、システム自身の利便性・安定性も向上しました。私が憤りを感じるのは、特捜が、このような利得を私が国循にもたらした点は全く斟酌せず、これまで国循を食い物にしてきた(巨大企業の看板と既得権益にあぐらをかき、価格・技術力ともに競争力のない)N社に利する方向にのみ捜査を続ける点です。これで私が罰せられるのであれば、世間の調達担当者は、意趣返しを恐れるあまり、競争性を排除し既得権益に配慮した事なかれ主義による入札を行う方向に動くことになるでしょう。今、検察は「談合」の摘発に力を入れているようです。うがった見方をすると、大阪地検は「あの村木事務次官」のいる厚生労働省所管の独立行政法人を題材にして意趣返しをしたいのかもしれません。当初の見込み違いがあったのであれば、その場で引き返す勇気はないのでしょうか。検察のお家事情で捜査が進められ、大きな森を見ずに突き進むこのようなやり方には大変な違和感を覚えます。」

「バッジを挙げる」ことに血道を上げる特捜が、公務員の贈収賄事件として目を付けていた目論見が外れたにも関わらず、引き返す勇気なく立件にまで至った事件であるという構図が見えます。彼らの正義なき暴走により、人一人の人生が踏みにじられようとしています。

私は、桑田さんの無実を信ずる者の一人として、この事件の推移に注目し、支援し続けたいと考えています。

注目の初公判は、来週4月27日大阪地裁で開廷されます。

なお、この事件を「国循サザン事件」と呼ぶのは、検察が内部で彼の事件の通称として呼んでいることによります。その由来は推して知るべしです。実に、検察らしいセンスなのではないでしょうか。

ここをクリック→ Wikipedia「国循官製談合事件」

フェイスブックに支援する会のグループページも立ちあがっています。
ここをクリック→ 国循サザン事件ー0,1%の真実ー

是非、ご注目頂き、権力の暴走を我々で監視していこうではありませんか。

(注)
「入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律」第8条

国の職員が、その所属する機関が行う契約の締結に関し、次のような方法で入札等の公正を害すべき行為を行ったときは、5年以下の懲役又は250万円以下の罰金。
・ 事業者その他の者に談合を唆すこと
・ 事業者その他の者に予定価格その他の入札等に関する秘密を教示すること
・ その他の方法

4/23/2016












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category: 国循サザン事件

2016/04/23 Sat. 20:14 [edit]   TB: 0 | CM: 1

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この記事に対するコメント

「国循サザン事件」、これも特捜検察によって事件を作り上げたものと推察致します。
タレ込みか何かで特捜が動き始め事情聴収を始めた事から後に引けなくなり、
何としても有罪方向に持って行こうとする検察の思惑が見て取れます。多分に
「官製談合事件」での起訴は検察も望んでいなかったことでしょう・・・贈収賄事件で
やりたかったのでしょうが証拠が出ず自白調書も取れない中で、検察の面子を
保つために「官製談合」事件として起訴するしか手立てがなかったものと想像致して
おります。事件の当事者でなければ当然分からないことも多々ありますが、逮捕から
2年間近くも初公判も行われず今日まで耐えてこられた被疑者には同情の念を
禁じ得ません・・・私も似通った事件で逮捕された人間ですからおおよその検討は
つきます。最終的に有罪か無罪かわかりませんが、被疑者の方々は検察不信に陥って
いることと思います。当初、私も何故に事件の真相・真実を歪めるのか分かりません
でしたが、さまざまな刑事事件などを報道或いは著書などを通じて知る中で
警察・検察と言う組織は引き返す勇気は持てない組織であると確信しました。
ある元検事がマスコミに事件情報をリークして検察用語で「風を吹かせる・・・」と言う
作業をやると言っておりましたが、そうしているうちに何としても事件として
起訴しなければ組織の面子が保てなくなる事が組織としての問題で、そこには被疑者の
個人的な人権とか名誉とかを考える組織ではなくなっているのです。被疑者に取って
逮捕後の取り調べも相当な辛い日々であったと想像出来ます。そこには「推定無罪の
原則」などはありません・・・逮捕=犯人扱いです。経験者ゆえに言える言葉ですが・・・
「村木事件」なども氷山の一角と思います。可視化などをしていればこの裁判も
どう動くのか分かりませんが是非とも裁判に於いて真実を追求して欲しいと思います。
そしてこの事件も含め少しでも早く冤罪者の出ない司法改革をして欲しいと
願っております。
八田さんのブログ応援しております。



#- | URL | 2016/04/27 Wed. 19:18 * edit *

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