「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (554) 「奇跡、再び!?国賠審で証人請求が認められる」 5/13/2017 

#検察なう (554) 「奇跡、再び!?国賠審で証人請求が認められる」 5/13/2017

先日の5月8日、私が国を相手取って戦っている国賠審の第17回口頭弁論が行われました。私は出廷していませんでしたが、傍聴していた友人・知人からメールやメッセンジャーで速報が届きました。彼らが伝えてきたのは、原告請求の証人が認められたということでした。これがどういう意味を持つのかは法曹関係者でなければなかなか分かりにくいことだと思われます。しかし、これは非常に重要な意味を持ちます。

ここをクリック→ #検察なう (553) 「私の国賠審のこれまでのおさらいと第16回口頭弁論報告」

私の国賠審は2014年の7月に始まりました。しかし、ここまでの約3年間表立った進展はなく、水面下で(期日間に「準備書面」と呼ばれる書面をやり取りして)原告の私と被告の国の主張の応酬が続いていました。

鍵は、原告請求の証人が認められるかどうかでした。「原告と被告の主張が真っ向から対立している争点があるのであれば、関係者を呼んでその証言を聞いてみよう」とする実質的な審理が法廷でなされることが、原告の私が勝つ必要条件です。勿論、十分条件ではありませんが、それがなければ、結論は「門前払い」です。

今回認められたのは、控訴違法に関する証人です。私は、「告発も違法になされた。起訴も違法になされた。控訴も違法になされた」と主張していますが、その最後の控訴違法に関する証人として、第一審の公判検事が証人として認められました(起訴違法に関しての証人は今回「留保」とされ、次回口頭弁論期日でその可否が決定される予定ですが、一旦留保しておいて認めることはほぼ考えにくいと思われます)。

一審公判検事は控訴に関する決定責任者ではありませんが、彼のインプットは非常に重要であったと考えられます。そして彼が控訴に関して消極論を述べたということは、考えにくいものです。野球で、9回を終わった時点で負けているチームのピッチャーが、もし延長戦が許されるなら、延長戦を望まないわけはないのと同じ理由です。証拠を熟知して、真実をかなりの確度で知っていたはずの彼が、「有罪にできる」というプレゼンテーションを検察内部でどのようにしたかは非常に興味深いところです。それが今後の口頭弁論期日で明らかにされるものと思われます。

控訴に関して、国はこの国賠審において、検察控訴は起訴と同じ判断基準でいいのだという主張をしています。そもそも刑事裁判は「事後審」と言って、控訴審では審理を初めからやり直すのではなく、一審の判決が常識に照らしておかしいかどうかのみを審理します。そのハードルが「論理則・経験則違背」と呼ばれるものであり、控訴審において一審判決を破棄するハードルはかなり厳しいことが最高裁判決(平24年2月13日判決)で確認されています。例えて言えば、負けているチームのピッチャーに延長戦を認める代わりに、延長戦においてストライクゾーンは狭くするよと言っているようなものです。

しかし私の国賠審における国の主張は、「それは裁判所が言っているだけで、検察はそんなこっちゃ知ったことじゃない。控訴する場合のストライクゾーンも、起訴する場合のストライクゾーンと同じでいいんだ」というものでした。

これは実に興味深いものです。検察は、明らかにボール球と分かっているボールを投げることがあることになりますが、彼らも全く有罪の可能性がないものを控訴するはずがありません。つまりこのことは、「ボール球を投げても、アンパイアによってはストライクに取ってくれるんだ」と検察自ら認めていることを意味します。

控訴違法に関する証人尋問では、この点が非常に重要になると思われます。

代理人チームの元検事郷原氏によれば、現職検事が国賠審の証人台に立つことは極めて異例のことだそうです。そもそも国賠審で国が負けることはほぼあり得ないので、ケース自体考えにくいのでしょうが。

次回期日は7月31日(月)です。そこで証人尋問の期日が決定します。現時点では、9月4日(月)あるいは11日(月)のいずれかが予定されています。奇跡が再度起こることを期待して、是非ご注目下さい。

(補足)
国賠審がなぜそれほど大変かに関して専門的な資料を添付します。興味のある方は是非お目をお通し下さい。最初から読んでいくと、テクニカルタームが多く、ほとんどの方は挫折すると思われますが(「職務行為基準説」ってなんじゃ??みたいな)、「運がよい冤罪被害者は、無実を勝ち取ることができたとしても、冤罪者の多くが国(警察・検察・裁判所)に対して国家賠償を請求してきたとしても、国は冤罪作りの責任から逃げ切ってきた」と述べる第6章「本件国賠訴訟から読み取れるわが国の司法の在り方について」だけでもお読み頂ければと思います。

ここをクリック→ WLJ判例コラム「氷見冤罪国賠請求事件が司法に問うこと~冤罪被害者は、二度の責め苦を負わされる~」

5/13/2017













ここをクリック→ Amazon 『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』 カスタマーレビュー

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